雇用と買取は別物、歌手の齊秦氏が27曲の著作権を奪回

J140104Y3 2014年2月号(J174)

 歌手の齊秦氏は、齊氏の多くの持ち歌に係る著作権を所有していると主張する環球音楽出版股份有限公司(Universal Music Publishing Ltd Taiwan、以下「環球音楽」)と法廷で争っていたが、「大約在冬季」、「冬雨」、「狼」、「九個太陽」、「玻璃心」等27曲の音楽著作物に係る著作権を奪回した。最高裁判所は環球音楽の上訴を棄却し、齊氏の勝訴判決が確定した。
 齊氏側の主張によると、争議が発生したこれらの歌曲は、ほとんどが1985年、1986年に自作又は他人と共同で創作したもので、アルバムを製作した後、録音の著作物に関する著作権のみを所属していた綜一股份有限公司(以下「綜一公司」)に使用許諾したが、音楽著作物の演奏、公衆送信に係る著作権については一緒に譲渡していない。たとえその後、宝麗金唱片股份有限公司(PolyGram Records Ltd.)が綜一公司を買収し、さらに環球音楽と合併しても、権利は自分が所有するものである。
 一方、環球音楽側の主張によると、当時綜一公司は齊氏を雇用してこれらの歌曲を完成し、すでに詞と曲の音楽著作物と録音著作物等の権利を取得している。齊氏は20年以上にわたって権利を主張しておらず、ここからも著作権をすでに譲渡していることが分かる。現在齊氏が訴訟を提起することは、法律の安定性に反するものである。さらに環球音楽が綜一公司から引き継いだ権利は現在までに長い時間が経っていることから、時効規定により環球音楽はすでに著作権を取得している。
 最高裁判所の判決によると、著作権の取得は、立法された当初の登録制度から現在の創作保護制度に改正されており、著作権を所有すると主張する環球音楽はそれを立証する必要がある。環球音楽は綜一公司が出資して齊氏を雇い創作させた証明書、著作権譲渡証明書等の書類を提出しているが、これらの証明書類は署名のスタイルや印鑑の種類が複数使用されているため、その他の証拠がない中、齊氏が音楽著作物の著作権を譲渡したとは判断できないと裁判官は認めている。
 さらに判決書によると、長期の占有という既成の秩序を尊重するため、一定の期間にわたって他人の物を占有して物権を取得するという時効取得制度は、「著作者の著作物の権益を保障し、社会の公共的利益の調和を図り、国家の文化発展を促す」という著作権法の立法趣旨とは異なる。このため、著作権法については民法第772条の準用規定が適用されない。環球音楽が民法第768条、第768条の1、第772条及び第966条の規定に基づき、音楽著作物の著作権を時効取得するとの主張は採用できない。最終的に、最高裁判所は環球音楽に敗訴の判決を言い渡した。(2014年1月)
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