商標の呼称が全く同じ、阿舍国際が敗訴

J140420Y2 2014年5月号(J177)

 阿舍国際有限公司(A-Sha Republic Inc.、以下「阿舎国際」)は「阿舍食堂a-sha.com」の商標登録を出願したが、知的財産局は、台南で著名な阿霞飯店が2009年に商標「A-SHA」をオンラインショップ等での使用を指定して登録しているため、両者が混同されやすいと判断し、拒絶査定を行った。阿舍国際はこれを不服として経済部に行政訴願を提起していたが棄却され、行政訴訟を提起していた。知的財産裁判所は先日、阿舍国際に対して敗訴の判決を言い渡した。
 阿舍国際の主張によると、「阿舍食堂a-sha.com」商標において、中国語は毛筆で書かれており、レタリング化されている。アルファベットの「a-sha.com」は商標における一部分にすぎない。阿霞飯店の「A-SHA」商標はカニの図案が鮮明な印象を与えるものであり、その中の「A-SHA」は発音(呼称)をアルファベット表記したものにすぎず、識別力は弱い。両商標は消費者に双方にビジネス上の関係があると誤認混同を生じさせる虞はない。 
 それに対して判決書は以下のように指摘している。阿舍食堂の商標は主要部分が「阿舍」である。「阿舍」の文字が注目を惹く部分であるため、商標の主要部分といえる。また「a-sha.com」の部分はレタリング化されていないドメイン名であり、単に特定のサイトにリンクするための名称で、識別力を有さず、付属部分だといえる。それに対して阿霞飯店の商標は、商標はカニの図案と「A-SHA」の文字を組み合わせたものである。アルファベットの「A-SHA」はカニの腹部、つまり商標の中央に配置され、カニの図案によって「A-SHA」の文字が際立っている。見る人に「A-SHA」の文字を強く印象付けている。商標にはカニの図案があるが、カニは通常の生物であり特に目立つわけではなく、付属の部分だといえる。また「A-SHA」はよく見かけられるアルファベットで阿霞飯店が創作した単語であり、これは識別力が強い創意性商標(いわゆる独創的商標)である。
 また、「阿舍」、「A-SHA」は外観が異なるが呼称が類似しており、消費者に「A-SHA」は「阿舍」のアルファベット表記だと認識させ易い。阿舍食堂の商標には「a-sha」が含まれ、「A-SHA」とは小文字と大文字の違いしかない。両者ともインターネット、テレビショッピング等の民生品サービスでの使用を指定している。阿舍食堂はネットユーザーによく知られているが、阿霞飯店も長年経営され、多角化の事業展開を行っており、消費者に熟知されているため、両商標が消費者に混同を生じさせる虞がある。阿霞飯店がより大きな保護を受けるべきである。したがって、裁判所は阿舍国際に敗訴を言い渡した。(2014年4月)

A-SHA
TIPLO ECARD Fireshot Video TIPLO Brochure_Japanese TIPLO News Channel TIPLO TOUR 7th FIoor TIPLO TOUR 15th FIoor