「天下」と「世界」の観念は同一、「世界一番」商標は取り消すべき

J140624Y2 2014年7月号(J179)

 「天下一番」商標で米菓等の商品を販売している宜蘭食品工業股份有限公司(I LAN Foods Industrial Co., Ltd.、以下「宜蘭食品」)は他の食品業者が「世界一番」の商標を知的財産局に出願して許可されたことを発見し、「世界一番」と同社の長年使用してきた「天下一番」商標とは同一であるとして、知的財産局に登録異議申立を行ったが成立せず、さらに経済部に行政訴願を行ったが棄却されてしまったため、知的財産裁判所に行政訴訟を提起していた。
 知的財産裁判所は「天下一番」と「世界一番」はいずれも商標設計者のアイデアや創意が含まれていないありふれた中国語の文字であり、単純な文字商標である。教育部(日本の文部科学省に相当)国語推行委員会が編纂した「重編国語辞典修訂本」サイトで調べると、「天下」と「世界」は類似する語彙であり、「天下」には全世界が含まれ、「天下」と「世界」の双方が解釈上同じ観念を有することがわかる。また「一番」の2文字は日本語に由来するもので、程度を表す副詞であるが、台湾では早い時期からすでに使用され、解釈上は単なる程度の副詞ではなく、「第一」、「最高」等の程度を表す形容詞となっている。
 知的財産裁判所は、両商標について呼称及び外観は異なるが、観念が同じであると認めた。さらに「世界一番」と宜蘭食品の「天下一番」とを比べると、両者とも同一又は類似の商品における使用を指定しており、類似度により消費者に同一の出所からのシリーズ商品である、又は両商標の(使用者の)間に関連企業、使用許諾関係、加盟関係があると誤認させてしまう。このため、原訴願決定と原処分をいずれも取り消し、知的財産局は「世界一番」商標登録異議事件に対して「登録異議申立の成立により、登録を取り消す」決定を行うべきであるとの判決を下した。(2014年6月)

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