国家実験研究院が国内企業のために「4G LTE標準必須特許DB」を構築

J140723Y1・J140722Y1 2014年8月号(J180)

 台湾では2014年6月から4Gネットワーク通信業務が開始されている。国家実験研究院(NAR Labs)科技政策研究與資訊中心(STPI)の分析によれば、2013年末現在で、台湾企業が所有する4G通信関連の「標準必須特許」(Standard-Essential Patents、略称SEPs、即ち他のメーカーが同じ設備を開発する時に必ず実施しなければならない特許)の数量は米国、中国、韓国、日本、フィンランド、スウェーデンに次いで世界7位だったが、特許件数はわずか89件で、全体の2%に満たない。
 STPIは台湾企業が迅速に世界の4G通信技術発展動向を掌握できるように、徐々に「4G LTE標準必須特許データベース」(LTEはLong Term Evolutionの略称)を構築し、2014年には6,000件を超える4G通信「標準必須特許」を集め、世界の大手企業の4G通信領域における特許布陣(パテント・ポートフォリオ構築)状況を分析できるようにする計画だ。
 現在、世界4G通信の標準技術プロトコールは「国際電気通信連盟」(ITU)の主導で制定されているため、「欧州電気通信標準化機構」(ETSI)が欧米、中国、日本、韓国の通信産業関連協会からの技術特許資料をまとめており、各国の通信業者はすべてETSIに対して自社開発した「標準必須特許」を報告しなければならない。その他のメーカーはこれらの特許を回避できない場合、実施料を支払う必要がある。
 しかしながらETSIは報告を受けたものを対外的に公表するだけで、これらの特許が確かに「標準必須特許」であるかの審査を行わず、整理もしていない。このため、一般のメーカーが雑然とした大量の資料から自分に必要な情報を見つけることは容易ではない。
国家実験研究院によると、国内メーカーが発展のための明確な根拠を持てるようにSTPIは一年余りを費やしてこれらの資料を整理し、特許資料の正確性を逐一対比、確認すると同時に、国内の通信領域における専門家や学者十数名を招いて、特許の技術内容を解読、抜粋し、それが主に結びつく4G通信技術分野を開示し、これらの特許が該技術分野の「標準必須特許」であるかを判断して、世界の大手各社が4G通信に関してパテント・ポートフォリオを構築している技術項目と範囲を明確にしてきた。
 STPIが企業別に分析したところ、主な技術主導メーカーは米クアルコム(655件)、韓国サムスン(652件)、中国の華為(Huawei、603件)であり、これら大手3社が標準必須特許の3割を掌握している。台湾企業では、宏達電子(HTC、44件)、華碩(ASUS、44件)及び財団法人資訊工業策進会(Institute for Information Industry、1件)が含まれ、聯発科技(MediaTek)も2014年ETSIに自社開発の標準必須特許を報告する予定だという。
 STPIによると、4G通信は進化し続けている技術で、将来はモノのインターネット(IoT)、モバイルクラウドから5G通信の重要な基礎まで実現できるという。世界の企業はいずれもこの研究開発を行っており、台湾はこのチャンスを見逃すことはできず、世界の4G技術開発の進捗度に追いつき、標準必須特許に関するポートフォリオ構築にも力を入れる必要ある。それによって5G通信市場における確固たる地位を確立することができるだろう。(2014年7月)

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