賴和文教基金会の著作権侵害で2社に賠償金支払い判決

J140815Y3 2014年9月号(J181)

 

 財団法人賴和文教基金会(Laiho culture foundation & Museum、以下「賴和基金会」)が聯合百科電子出版有限公司(United Digital Publications Co. Ltd.、以下「聯合公司」)と大人物管理顧問有限公司(Greatman Management Consulting Inc.、以下「大人物公司」)を相手取り賴和の著作権侵害を理由として告訴した事件について、先日民事第二審の判決が出た。第一審の判決が覆され、両社は著作権法に違反していないものの、30万新台湾ドルの賠償金を支払うべきだとの判決が下された。
 賴和基金会の主張によると、同会は「台湾新文学の父」と呼ばれる作家、賴和氏の完全な蔵書、書画、手書き原稿及び関連の文献資料を所蔵しており、10年の歳月と1,600万新台湾ドル余りの資金を投じて、国立成功大学の林瑞明教授、賴和の子孫である賴悅顏氏が大量の人的、物的資源を使い、賴和氏の遺稿と遺物を選択及び編集・レイアウトして「賴和手書き原稿画像集叢書」にまとめ、2000年に出版した。しかしながら聯合公司と大人物公司は利用許諾を得ずに、無断で該叢書をスキャンして複製し、両社が設置した「台湾文献叢刊 続編 電子データベース」に収録しており、さらにオンライン会員に有料ダウンロードサービスの提供や電子データベースの販売を行い、他人から利益を獲得し、その著作権を侵害している。
 知的財産裁判所は判決の中で以下のように指摘している。著作権法第7条によると、編集著作物は資料の選択「及び」編集・レイアウトが必要であり、いずれも創造性を有して初めて保護を受けることができる。該叢書の資料の選択部分については、編者の主観的な精神、知恵、文化、創意の表現がみられず、賴和基金会と林瑞明教授等は資料の選択における個性又は独創性を証明し、表現することができない。たとえ資料の編集・レイアウトの部分において、個性又は独創性が表現されていても、著作権法の保護を受ける編集著作物とはならない。
 さらに製版権の保護期間は製版完成後10年であり、登録を(保護の)要件としているが、該叢書は登録されていない。賴和基金会等が賴和の手書き原稿を整理、印刷するのに膨大な時間と作業を費やしたことに対する投資利益を考慮して、なお権利以外の利益として保護を受けることができる。この法益は元来の製版権を上回ってはならず、また保護も2010年12月31日が期限であり、無期限ではない。
 知的財産裁判所はさらに、聯合公司及び大人物公司はデータベースの専門業者であり、賴和基金会から利用許諾を得ずに、手書き原稿をスキャンし複製した行為は、明らかに国民の道徳観念、取引習慣及びビジネス倫理に反しており、さらに賴和基金会等の利益を侵害しているため、善良な風俗を害する方法で他人に損害を与えたものに該当するとして、30万新台湾ドルの賠償金支払いの判決を下した。賴和基金会等は判決に不服であれば、さらに上訴を提起できる。(2014年8月)

 

TIPLO ECARD Fireshot Video TIPLO Brochure_Japanese TIPLO News Channel TIPLO TOUR 7th FIoor TIPLO TOUR 15th FIoor