発明特許の無効審判案件、ローム・アンド・ハースが研磨パッドの特許権を維持

J140904Y1 2014年10月号(J182)

   米ローデル社は2000年「可用於積體電路晶圓之拋光墊(Pad Useful for Polishing Integrated Circuit Wafers)」の特許権を米ローム・アンド・ハース研磨材料ホールディング(以下、「ローム社」)に譲渡して登録が許可されたが、その後劉○芳がローム社に対する無効審判を請求した。2012年11月、知的財産局は審理を終え、上記の研磨パッドに関する特許には専利法(日本の特許法、実用新案法、意匠法に相当)違反がみられ特許を付与できない事項があると認定し、「無効審判請求成立による特許権の取消し」の審決を行った。ローム社はこれを不服として行政訴願を提起したが、経済部は2013年9月に棄却を決定した。ローム社はなお不服として、知的財産裁判所に行政訴訟を提起し、同裁判所は先日知的財産局に対して敗訴の判決を言い渡した。
 知的財産裁判所の判決文によれば、本件双方の争点は請求人である劉○芳から提出された証拠2が、研磨パッドの特許権(係争特許)における請求項1、3、4に特許査定時の専利法(日本の特許法、実用新案法、意匠法に相当)第20条第1項第2号規定違反があることを証明できるか否かであった。
 知的財産裁判所合議法廷はローム社が所有する特許権の特許請求の範囲と劉○芳が提出した無効審判証拠の技術を対比した結果(付表を参照)、無効審判証拠は係争特許請求項1、3、4の新規性擬制喪失を証明するに足りないと認定した。これにより、知的財産局が行った「無効審判請求成立による特許権の取消し」の審決は適当ではないと認定し、知的財産局の原処分と経済部の訴願決定をすべて取り消すべきとの判決を下した。本件はさらに上訴できる。(2014年9月)

付表一.係争特許の請求項1と証拠2との技術的特徴の対比表

項目

係争特許の請求項1

証拠2

開示の有無 

1

集積回路に使用する研磨パッドであり、第3C図には集積回路にしようする研磨パッド (18)が開示されており、有り

2

該パッドの一部はスラリー粒子を吸収又は移動させる固有の性質を具えていない固体均質重合体シートから構成され、第3C図と明細書第17頁第19~21行には
「…プラテン孔30を覆う上方エリアにおける従来のパッド材料はソリッドなポリウレタン製プラグ42に取って代わられている。このプラグ42はパッド18で形成される」とある。
開示されておらず、直接想到できない

3

該重合体シートは波長が190乃至3500nmの範囲の光を通過できる。明細書第32頁第12~13行には「赤色レーザービームが選ばれるならば、波長の選択に関しては二つの競合因子間で最適な平衡があると考えられる」とある。有り

結論

証拠2は係争特許の請求項1について新規性喪失の擬制を証明するに足りない。

付表二.係争特許の請求項3と証拠2との技術的特徴の対比表

項目

係争特許の請求項3

証拠2

開示の有無

1

集積回路に使用する研磨パッドであり、 第3C図には集積回路にしようする研磨パッド (18)が開示されており、有り

2

該パッドはスラリー粒子を吸収又は移動させる固有の性質を具えていない固体均質重合体シートから構成される第一部分と、第3C図と明細書第17頁第19~21行には
「…プラテン孔30を覆う上方エリアにおける従来のパッド材料はソリッドなポリウレタン製プラグ42に取って代わられている。このプラグ42はパッド18で形成される」とある。
開示されておらず、直接想到できない

3

微孔性ポリウレタン構造が形成される第二部分とを含み、明細書第5頁第7~8行には
「…被覆層22は通常、連通孔型フォームポリウレタン(例:Rodel IC1000)…」、また、証拠4第1行には「ICは微孔性ポリウレタンである」とある。
有り

4

該重合体シートは波長が190乃至3500nmの範囲の光を通過できる。明細書第32頁第12~13行には
「赤色レーザービームが選ばれるならば、波長の選択に関しては二つの競合因子間で最適な平衡があると考えられる」とある。
有り

結論

証拠2は係争特許の請求項3について新規性喪失の擬制を証明するに足りない。

付表三.係争特許の請求項4と証拠2との技術的特徴の対比表

項目

係争特許の請求項4 

証拠2

開示の有無

1

集積回路に使用する研磨パッドであり、第3C図には集積回路にしようする研磨パッド (18)が開示されており、有り

2

該パッドはスラリー粒子を吸収又は移動させる固有の性質を具えていない固体均質重合体シートから構成される第一部分と、第3C図と明細書第17頁第19~21行には
「…プラテン孔30を覆う上方エリアにおける従来のパッド材料はソリッドなポリウレタン製プラグ42に取って代わられている。このプラグ42はパッド18で形成される」とある。
開示されておらず、直接想到できない

3

充填又は膨張の複合ポリウレタンから構成される第二部分とを含み、明細書第5頁第7~8行には
「…被覆層22は通常、連通孔型フォームポリウレタン(例:Rodel IC1000)…」、また、証拠3第2欄第60~65行には「充填又は膨張の複合ポリウレタンは例えば、ローデル社製のICシリーズ、MHシリーズ及びLPシリーズである」とある。
有り

4

該重合体シートは波長が190乃至3500nmの範囲の光を通過できる。明細書第32頁第12~13行には
「赤色レーザービームが選ばれるならば、波長の選択に関しては二つの競合因子間で最適な平衡があると考えられる」とある。
有り

結論

証拠2は係争特許の請求項4について新規性喪失の擬制を証明するに足りない。
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