日台間で「日台特許手続微生物寄託覚書」等4項目の覚書に署名
J141121Y1・J141121Z1 2014年12月号(J184)
日台間で2014年11月20日、「特許手続上の微生物の寄託の分野における相互協力に関する覚書(略称:日台特許手続微生物寄託覚書)」、「出入境管理分野における情報の交換と協力に関する覚書(略称:日台出入境管理協力覚書)」、「原子力エネルギーの平和利用における原子力及び放射線安全規制の分野に係る覚書(略称:日台原子力安全規制情報交換覚書)」、「観光事業発展に関する協力強化についての覚書(略称:日台観光事業協力覚書)」等4項目の覚書が締結され、台湾の亜東関係協会の李嘉進会長と日本の交流協会の大橋光夫会長が共同で署名した。
その中の「日台特許手続微生物寄託覚書」は2012年の「日台特許審査ハイウェイ(PPH)」、2013年の「日台特許等優先権書類電子的交換覚書」に続くもので、日台間の特許審査提携に新たな頁を開いた。日台特許手続微生物寄託覚書が締結されることで、台湾出願人が国を越えて特許の出願をする際、重複して寄託する負担を軽減できるだけではなく、台湾の寄託機関が国際水準に達していると日本から認められることにより、台湾が他国との提携を拡大するのにも有利となる。知的財産局は締結後に「日台間の特許手続上の微生物の寄託の分野における相互協力作業要点」を公布する予定であり、実施時期は知的財産局と特許庁が関連の準備作業を終えるのを待って公表される。
知的財産局の説明によれば、生物材料関連の特許出願案件について、台湾がブタペスト条約の会員国ではないため、日台特許手続微生物寄託覚書が実施されるまでは日本側が台湾で特許を出願するためには台湾で重複寄託しなければならず、それに対して台湾人が日本で特許出願するときは、国際寄託機関に寄託する必要があるが、本覚書が実施された後は、日本人が台湾で特許を出願するとき、台湾人が日本で特許を出願するときに拘わらず、いずれも地元で寄託するだけでよく、重複寄託する必要はなくなる、としている。さらにすでに台湾で出願されている特許出願案件が日本にある国際寄託機関に寄託されている生物材料については、誰でも分譲を請求することもできる。本覚書は日本にとってブタペスト条約会員国以外の国に対する初めての寄託相互承認となる。
知的財産局は、本覚書によって出願人が台湾又は日本のどちらかで寄託することを選択でき、出願人に寄託機関に関して複数の選択肢が提供されると説明している。出願人は地元で寄託することができ、国を越えて寄託しなければならない不便を解消し、出願人は日本の国際寄託機関に寄託することもでき、国を越えた特許出願を行う際の重複寄託の経費を軽減でき、台湾のバイオ、医薬、食品に関連する産学界は恩恵を受けることになる。
その他3項目の覚書の重点について、「日台出入境管理協力覚書」は今後双方が法制化の基礎において、出入境管理事務における提携と国際犯罪の共同取締りを強化し、さらに緊密なパートナーシップ関係を築いていくものである。
「日台原子力安全規制情報交換覚書」は、今後日台間において原子力規制の技術交流や情報交換のルートを確立して、双方が福島原発事故以降の原子力安全と放射線防護措置の経験を分かち合うためのものである。「日台観光事業協力覚書」は、双方が観光事業の経験と情報の相互共有や定期的な意見交換を行い、日台の観光主務機関の実務的な協力を強化し、日台の観光交流を拡大することを図るものである。
日本と台湾は1972年から日台双方は亜東関係協会と交流協会を通じて金融監督、貿易・経済・投資、電子商取引等の分野を含む38項目の協定・覚書を締結してきた。今回はさらに4項目の覚書を締結することで、知的財産権、出入境管理、原子力、観光における協力と交流を強化するだけではなく、日台関係の更なる発展を促す。(2014年11月)