「初鹿鮮乳」の産地は台東にあらず 雲林の商標「台東初鹿鮮乳」は取消に

J150117Y2 2015年2月号(J186)

 商標「台東初鹿鮮乳デザイン図」は2006年8月、乳飲料、豆花(デザート豆腐)、牛乳、ヨーグルト、ゼリー、おしるこ」等商品での使用を指定して知的財産局に登録が出願されるとともに、「台東初鹿鮮乳MILK TAITUNG CHULU FRESH MILK」についてはディスクレーム(権利不要求)が行われた。知的財産局が審査した結果、登録第1424975号商標として登録が許可され、さらに2012年には商標権が聯合農民乳品股份有限公司(THE UNITED FARMER MILK CO., LTD.、以下「聯合農民乳品公司」)に移転登録された。ところが台東県政府は該登録商標が商標法第63条第1項第5号の規定に違反していることを理由に、2013年5月知的財産局に該商標の取消審判を請求し、聯合農民乳品公司の商標が取り消された。聯合農民乳品公司はこれを不服として、経済部に行政訴願を提起したが棄却され、その後知的財産裁判所に行政訴訟を提起した。
 聯合農民乳品公司は以下のように主張している。同社は「台東初鹿鮮乳」商品の上に産地を「雲林」であると明記して消費者が分かるようにしている。また牛乳が台東初鹿地区から調達したものだとは標榜しておらず、消費者が産地を誤認するおそれはなく、商標の実際使用時に不正使用された事実もない。況してや特定の地名を商品上に使用した製品はよく見られており、例えば「瑞穗鮮乳」や「林鳳營鮮乳」と標示された牛乳等の関連製品がある。かつ行政程序法(行政手続法)第6条に規定される「平等原則」に基づいて、知的財産局は同社に対してのみ「初鹿鮮乳」の使用を禁止すべきではない。
 判決書では以下のように指摘されている。聯合農民乳品公司が商標「台東初鹿鮮乳デザイン図」を実際に使用する時、それが表彰する牛乳は図案に掲載されている「台東初鹿」から調達されたものではなく、該商標の指定商品である「乳飲料、牛乳、ヨーグルト」等の部分は乳成分を含んでおり、関連する公衆は同社の商標の図案からその商品の産地が台東初鹿地区であると容易に認知してしまう。このため、該商標は前記商品に実際に使用される時、公衆にその商品の産地を誤認誤信させるおそれがあり、商標法第63条第1項第5号の規定を適用すべきである。
 さらに判決書は、該商標の指定商品である「豆花、ゼリー、おしるこ」等の部分については、聯合農民乳品公司の該商標が実際に使用する図案に「台東初鹿鮮乳」等文字があり、この部分の商品における使用は公衆にそれらの商品の産地が「台東初鹿」である、商品の性質は「牛乳」成分を含むものである等の認知をさせやすく、商標「台東初鹿鮮乳デザイン図」がこの部分の商品に実際に使用される時、公衆にその商品の性質、品質又は産地を誤認誤信させるおそれがあり、これも商標法第63条第1項第5号の規定を適用すべきであると、指摘している。
 さらに、聯合農民乳品公司は「瑞穗鮮乳」、「林鳳營」を例に挙げて、前記認定は行政程序法第6条に定められる平等及び誠信の原則に違反している云々と主張しているが、商標登録取消審判答弁書に証拠として提出されている「瑞穗鮮乳」、「林鳳營」商標資料及び関連のニュース報道資料の中の2005年10月付の自由電子報報道では、これら2種類のブランドの酪農家には瑞穗又は林鳳營の契約牧場が含まれることが業者の話として引用されており、本件の牛乳調達源が台東初鹿地区ではない状況とは異なる。よって本件は聯合農民乳品公司が提出した資料に基づき、前記2件の商標事案が本件の状況と同じであるとは認めがたく、聯合農民乳品公司はそれが挙げた事例を直接的に引用して、知的財産局が平等又は誠信の原則に違反していると主張することはできない。
 以上をまとめると、知的財産裁判所は聯合農民乳品公司の商標は商標法第63条第1項第5号規定の状況に該当するため、聯合農民乳品公司による原処分及び訴願決定を取り消す請求を棄却した。本案はさらに上訴できる。(2015年1月)
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