「公平交易法改正案」が立法院第三読会を通過 合意推定と訴願手続免除の条文を新設

J150123Y4 2015年2月号(J186)

 立法院は2015年1月22日に第三読会にて「公平交易法改正案」(「公平交易法」は日本の不正競争防止法や独占禁止法に相当)を可決した。本法案の改正によって、台湾の市場競争法はさらに改善され、企業経営と競争環境に役立つことが期待される。
 公平交易委員会(以下「公平会」)によると、「公平交易法改正案」では現行の公平交易法に対する全面的な見直しと改正が行われており、同法が立法されて20年余りの歴史において規模が最大で、影響が最も大きい改正となっている。公平会は2003年から検討を開始し、これまでに多数回にわたり公聴会を開いて外部に諮問し、内部会議も100回以上開催して、22名の学者や専門家に書面審査を委託した。幅広く産官学界の意見を集めた後、改正案は行政院に送られ審査を通過し、さらに立法院での審議に送られた。また立法委員の丁守中氏、黄昭順氏、蘇震清氏等も公平交易法の改正議題に高い関心を持ち、それぞれ事業者結合の届出規定、連合行為(共同行為)の規定、捜索・証拠押収及び救済手続き等に関する改正案を提出した。
 複数の提案は立法院経済委員会による併合審議が完了した後、与野党による協議を経て事業者結合に関する規定が再度改正されたが、捜索、証拠押収の条文は削除された。その後立法院院会にて1月22日に第二読会、第三読会の手続きが行われ、最終的に公平交易法改正案(計7章50条の条文から構成)が可決された。実質的に改正された部分は全体の70%に達している。主な改正内容の要点は次の通りである。
一.事業者結合に関連する規定について
(一)関係企業(兄弟会社を含む)の持ち株及び売上高を併せて計算する。
(二)自然人又は団体が支配的に株式を所有する状況については結合の規定に組み入れ、事前に公平会に届出を行う必要がある。
(三)公平会は業種別に販売価格を公告する基準を設定することができる。
二.連合行為(共同行為)に関連する規定について
(一)合意推定の条文を新設し、市場の状況、商品又は役務の特性、コスト及び利潤の考慮、行為の経済的合理性等の相当の根拠となる要素に基づいて連合行為の合意の存在を推定することができると規定している。
(二)連合行為の例外許可に関する包括的条文を新設し、今後は経済全体や公共の利益に有益な連合行為については公平会に申請を提出することができ、特定の形態に限定しない。
三.調査権限について
 調査中止制度を新設し、事業者による自主的な停止、改善、及び行政機関による監督等の措置によって、市場秩序に悪影響を及ぼし続ける可能性がある行為を速やかに解消できる。
四.罰則について
(一)各違法行為の類型によって、異なる過料金額を定めている。競争制限行為に対する過料は現行の2倍に引き上げられ、処分権の時効は通常の3年から5年に延長されている。
(二)同業組合やその他の事業団体による違法行為に対しては、組合又は団体を処分する以外に実際に参加したメンバーも併せて罰することができ、個別の事業者による責任免脱を回避する。
五.訴願手続免除の条文を新設し、今後公平会による公平交易法に基づく処分については直接行政訴訟手続を行い、司法機関に救済を提起できるようになる。
 ただし、公平会によると、長年にわたって捜索、押収権に関する条文を検討し、該権限を獲得しようと努力してきたが、最後に削除されてしまったという。現在、世界各国の競争法所管機関は捜索、押収を違法行為の事実証拠を入手するための重要な手段としており、公平会は今後も社会の各界と話し合い、説得して、立法化に努めていくとしている。(2015年1月)
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