工研院とスタンフォード大の共同開発技術「超高速充電アルミニウムイオン電池」が英「ネイチャー」誌に掲載

J150410X5・J150408X5 2015年5月号(J189)
 工業技術研究院(Industrial Technology Research Institute、以下「工研院」)のニュースリリースによると、工研院の研究チームと米スタンフォード大学が共同開発した「超高速充電アルミニウムイオン電池(An ultrafast rechargeable aluminium-ion battery)」はコストが低く、安全性に優れ、高効率で高速充電ができ、アルミ電池の寿命が短いという課題を克服したため、世界的に評価され、4月には英「ネイチャー(Nature)」誌に掲載されたという。同技術はすでに米国と台湾で特許が出願されており、今後は従来の鉛電池に取って代わり、大型エネルギー貯蔵装置や軽量電動バイク/電動自転車向けバッテリーに応用されることが予測され、次世代のエネルギー貯蔵分野における期待の星となっている。
 工研院のグリーンエネルギー及び環境研究所(Green Energy and Environment Research Laboratories)所長によると、「超高速充電アルミニウムイオン電池」技術には3つのブレークスルーがあるという。第一に、アルミニウム金属とグラファイトというベストの組合せを発見したことにより、アルミ電池材料の課題を解決できた。第二に、紙のように柔らかく、折り曲げることができ、容易に量産できる薄型導電材料を開発したことにより、今後は様々なニーズと特性に対して製造が可能となった。第三に、安定性、安全性、耐久性を有し、外力を受けて破損したとしても、災害を惹き起こす心配がないことである。
 「超高速充電アルミニウムイオン電池」の基本構造は、アルミ金属の陽極とグラファイトの陰極から構成されている。工研院とスタンフォード大学の研究チームはグラファイトの積層特性を利用し、アルミニウムイオンがグラファイト内部にある数万層のグラフェン層間で出入りする電気化学反応を高速に進行させることにより、繰り返して充電を7500回行うことができ、電池が弱ることがなく、耐久性の面で素晴らしい成果をあげている。加えて薄型グラファイト導電材料は紙のように柔らかく、折り曲げることができ、材質が安定している。電解液の基本成分はアルミニウム塩で構成されており、室温で安定な状態を維持することができる。放電の過程においては穿孔試験を受けている時でさえも安定に電力を供給することができたため、アルミニウムイオン電池の安全性が証明された。
 2013年から工研院とスタンフォード大学がアルミニウムイオン電池に関する提携プロジェクトを展開し、技術面における実質的なブレークスルーを達成した。特許及び今後の産業提携を含む事項についてはいずれも分業されている。今後は同技術をベースとして、台湾の科学技術開発力と製造の速さにおける強みを海外の技術革新力と結合し、再生エネルギー貯蔵産業において技術革新という重要な役割を担っていく。
 現在、「超高速充電アルミニウムイオン電池」の応用研究はグラファイト材料の電気容量向上とグラファイト陰極材料の量産化の2項目を目標としている。2年以内に再生エネルギー発電機に組み合わせるための固定タイプ大型エネルギー貯蔵装置の完成を目指していく。さらには寿命が短い自動車向け鉛電池に取って代わったり、軽量電動車両に動力を提供したりするようになる可能性もある。一般の自動車用バッテリーにアルミニウム電池が採用されれば、自動車用バッテリーの寿命は10年以上にまで延び、省エネとメンテナンスコスト削減という二重の効果を得ることができる。(2015年4月)
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