登録拒絶された淡水有名店「黒店排骨飯」の商標が勝訴

J150521Y2 2015年6月号(J190)
 新北市淡水の有名店「黒店排骨飯」は近年「黒殿飯店」に改名し、「黒殿飯店DARK PALACE TAIWANESE GOURMET及び図」商標の登録を知的財産局に出願したが、知的財産局は同商標が高雄の三力食品公司(San Li Food Co., Ltd.)の登録商標「黒店」と類似しており、いずれも飲食等の類似の役務における使用を指定しているため、消費者に誤認混同を生じさせるおそれがあるとして、商標法第30条第1項第10号規定を適用し、拒絶査定を行った。黒殿飯店はこれを不服として行政訴願を提起したが棄却され、その後知的財産裁判所に行政訴訟を提起していた。
 知的財産裁判所は以下のように認定している。「黒殿飯店」商標は豚の頭の図案、横書きの中国語「黒殿飯店」及び字体が極めて小さい外国語「DARK PALACE TAIWANESE GOURMET」が上から下へと配列されて構成されており、その中で商標図案の中央に位置する豚の頭の図が明らかに目立っており、下方にある「黒殿飯店」の字形もデザインが施され、単純な標楷体(中国語フォント)の「黒店」二文字で構成される商標とは明らかに異なり、両者が外観において消費者に与えるイメージ、視覚的感覚はいずれも異なる。「黒殿」は黒くて大きなホールという意味を持ち、「黒店」とは観念上も異なる。「黒殿」と「黒店」は称呼が同じであるが、二商標の全体の印象については、消費者の誤認を生じさせる可能性が低いため、二商標の類似度は低い。
 さらに、「黒殿飯店」は長年にわたり経営されており、マスコミも常に報道しているため、「黒店排骨飯」のキーワードでGoogle検索を行い得られる資料及びブログ記事の内容は大多数が「黒殿飯店」に関するもので、いずれも高雄の三力食品の「黒店」とは関係なく、二商標がすでに消費者に誤認混同を生じさせているとは認めがたい。
 知的財産裁判所は審理した結果、二商標が使用を指定している役務は同一又は類似しているが、二商標の類似度は低く、いずれも識別力を有するほか、「黒殿飯店」商標の登録出願は善意であり、また消費者に誤認混同を生じさせるという証拠もないと認定した。「黒殿飯店」商標と三力食品の「黒店」商標は全体の構図デザインが明らかに異なり、関連の消費者が普通の注意を施し、時間と場所を異にして隔離的観察したとき、二商標が異なる出所からのものであると区別でき、二商標の使用者の間に関連企業、使用許諾関係、加盟関係又はその他これらに類する関係が存在すると誤認させるには至らず、商標法第30条第1項第10号に定める状況には該当しない。このため「黒殿飯店」に勝訴の判決を下し、訴願決定及び知的財産局の「登録してはならず、拒絶すべきである」との行政処分をいずれも取り消し、知的財産局に「黒殿飯店DARK PALACE TAIWANESE GOURMET及び図」商標の登録出願案件について、本判決の法的見解に基づき改めて処分を行うよう命じた。全件はさらに上訴できる。(2015年5月)
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