台韓間で「特許審査ハイウェイ覚書」及び「工業所有権情報の交換及び優先権書類の電子的交換覚書」を締結
J150616Y1・J150616Z1 2015年7月号(J191)
知的財産局のニュースリリースによると、台湾と韓国は2015年6月15日に「特許審査ハイウェイ(PPH)」及び「工業所有権情報の交換及び優先権書類の電子的交換(Exchange of Industrial Property Information and PDX)」の2項目に係る覚書を締結し、これは特許出願案件審査の加速と両国工業情報の一般利用に役立つ他、台湾と韓国との知的財産交流にとって重要なマイルストーンとなる、としている。
知的財産局は2011年から米国、日本、スペイン等の国と次々と特許審査ハイウェイ提携プロジェクトを展開し、2014年には797件の特許出願が同制度を利用した。審査着手後最終処分までの平均期間はわずか11ヵ月であり、これは一般出願案件の1/3の期間に相当し、審査加速の効果が顕著に表れている。韓国は台湾への専利(特許、実用新案、意匠)出願件数が多い国であり、2014年には2,127件に達している。LG化学、サムスンディスプレイ及びサムスン電子は外国人による台湾への専利出願件数でトップ20に入っている。台湾側から2013年韓国へ提出した専利出願案件は768件に上り、2014年には955件に達した。韓国へ専利出願している主な企業は台湾積体電路(Taiwan Semiconductor Manufacturing Co., Ltd.)、華邦電子(Winbond Electronics Corporation)、聯発科技(MediaTek Inc.)、慧栄科技(Silicon Motion Technology Corp.)。このため、台湾と韓国の間でPPH提携を行うことにより、化学、電子、半導体などの産業が恩恵を受けることになる。
今回締結されたPPH提携プロジェクト(訳注:PPH MOTTAINAI、試行期間5年)は、双方の特許庁のいずれかで先に審査結果が得られていれば、出願人はもう一方の特許庁にPPH審査を申請できる。例えば、台湾人が台湾で先に特許出願をした後に同じ発明を韓国で出願した場合でも、韓国の特許庁(KIPO)で審査結果が出ていれば、出願人は台湾の知的財産局(TIPO)に対してPPH申請ができる。これにより、より多くの特許出願案件が同制度を利用することができ、多くの出願人が恩恵を受けることになる。
2つ目の覚書によって、「優先権書類の電子的交換」の提携枠組も始動することになる。双方はこの提携に対する関連情報設備の設置を早急に行うことにしている。今後、優先権書類の電子的交換システムが始動すれば、出願人が紙の書類を郵送する費用と時間を節約でき、国を越えた出願手続きを簡素化でき、双方の特許庁の審査作業も加速し紙の書類を保存するスペースを減らすことができる。
さらに知的財産局は2003年から韓国特許庁と専利(特許、実用新案、意匠)、商標の情報を交換してきたが、内部での利用に限られてきた。覚書締結後は、交換して得られた情報を一般利用に開放することができるため、先行技術の散布を促進し、第三者に情報を提供することで価値の付加が進み、産業界のイノベーションを刺激したり、産業発展を促進したりすることに役立つ。
台湾・韓国間PPHプログラムは2015年7月1日から実施される。関連情報は知的財産局サイトの「專利審查高速公路(PPH)專區」というページに掲載されている。
中国語版http://www.tipo.gov.tw/np.asp?ctNode=6713&mp=1
英語版http://www.tipo.gov.tw/lp.asp?CtNode=7556&CtUnit=3679&BaseDSD=7&mp=2
(2015年6月)