「H」商標訴訟、知的財産裁判所がHOME HOTEL勝訴の判決

J151014Y2 2015年11月号(J195)
 逸寬股份有限公司(以下「逸寬公司」)は台北市信義区でホテル「HOME HOTEL」を経営しており、「飲食店、旅館」役務での使用を指定して「H」商標の登録を知的財産局に出願し、許可を得た。米国のシックス・コンチネンツホテルズグループ (現在はインターコンチネンタルホテルズグループ)は「H」商標が同社の商標と類似しており、いずれもホテル業に従事しているとして知的財産局に異議申立を行ったが不成立となったため、さらに経済部に行政訴願を提起したところ主張が認められた。逸寬公司は訴願決定を不服として、行政訴訟を提起した。
 知的財産裁判所は以下のように指摘している。逸寬公司の「H」商標は見る者に毛筆デザインの抽象的図案という印象を与え、左払いと右払いは下に向かい、筆跡はあたかも舞っているように見える。またデザインによって中国語の「人」と数字「1」が組み合わされているような視覚的効果がもたらされ、「(万物も)人(我)と一たり」という禅意を含んでいる。柔軟な東洋の文字と西洋のアルファベット「H」を融合し、中洋折衷のホテルという経営理念を伝えている。一方、シックス・コンチネンツの商標は2本の直線があり、右上がりの横線がそれらを貫通しており、良く見かけるアルファベットの字体である。且つアルファベット「H」をデザインした旅館、飲食業者は多数あり、逸寬公司の「H」商標は悪意を以って他人の知名度に便乗しようとするものではない。
 さらに、シックス・コンチネンツ傘下のホテルは米国式の大型チェーンホテルであり、トータルな国際水準の優れたサービスを提供することをホテルのスタイルとしている。一方、逸寬公司はじっくりと旅を楽しむ若者や小家庭やビジネス客をターゲットとしており、台湾の文化創造ブランド、MIT(台湾製)及び中洋折衷のデザイン感を強調し、濃厚なチャイニーズテイストと台湾のスタイルを融合し、小規模ながらも優れたデザイナーズホテルであることを表彰している。両者が提供するホテルのサービス、経営理念、消費者層はいずれも異なっている。また、逸寬公司は年商1億6000万新台湾ドルに達し、世界的な旅行口コミサイト「Trip Advisor」から優良証書を獲得している他、メディアの報道、ブログでの推薦などを常々受けており、すでに業務上の名声を有している。シックス・コンチネンツとは位置づけが異なり、市場が明確に区別化され、誤認混同の状況は生じていない。よって(知的財産裁判所は)逸寬公司に勝訴の判決を下し、経済部の訴願決定を取り消すよう命じるものである。全件はさらに上訴できる。(2015年10月)
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