「N次貼」商標権侵害に知的財産裁判所は賠償金29万新台湾ドル支払い命令判決

J151204Y2 2016年1月号(J197)
 聚和国際股份有限公司(Taiwan Hopax Chemicals MGF Co., Ltd.、以下「聚和国際」)は文品国際事業有限公司(Wen Pine International Co., Ltd.、以下「文品国際」)が「N次貼」商標を侵害し、文品国際の再剥離式付箋紙「探検活宝便利貼」(訳注:「探検活宝」はアニメ「ADVENTURE TIME」の中国語名)に使用して、台湾全土の7-11(セブンイレブン)店舗で販売したとして告訴を提起していた。知的財産裁判所は文品国際が「N次貼」商標権を侵害し、聚和国際の商業上の信用を毀損したと認定し、29万新台湾ドルの損害賠償金を支払うとともに、新聞に謝罪広告を掲載するよう命じる判決を下した。
 聚和国際は次のように主張した。同社が2014年1月にLINE社と提携してスタンドタイプの再剥離式付箋紙「站立式N次貼」を生産し、全家便利商店(ファミリーマート)で販売しており、同年4月、文品国際が生産する「探検活宝便利貼」も7-11で発売され、製品の上には「N次貼」の文字が標示されていたため、聚和国際のLINEキャラクタをデザインした再剥離式付箋紙の販売量が激減し、同年6~8月に合計10万点余が販売店から返品され、494万新台湾ドル余の損失を被ったほか、文品国際の再剥離式付箋紙は品質が粗悪で、消費者に聚和国際の製品に対する悪い印象を与え、聚和国際の商業上の信用を毀損した。
 一方、文品国際は次のように抗弁した。文品国際は「探検活宝」の関連グッズを生産するため、三○○股份有限公司と「ADVENTURE TIME(即ち探検活宝)」に係る使用許諾契約を結んでいる。「探検活宝便利貼」をデザインする過程において、美術編集者が「N次貼」は商品を描写する一般的な用語なので、「N次貼」を該商品に使用するよう判断した。さらに「探検活宝」商標の知名度は「N次貼」商標よりもはるかに高いため、故意に侵害する必要はない。また2014年4月18日聚和国際から内容証明郵便を受け取った後、すぐに販売店に商品を陳列棚からおろすよう通知したので、「N次貼」商標権の侵害はない。
 裁判所は次のように指摘している。聚和国際は1975年に設立され、アジア最大規模を誇る再剥離式付箋紙メーカーであり、それが開発し、「N次貼」商標を使用する再剥離式付箋紙等商品は、台湾及び世界各国で幅広く販売されている。1992年から次々と台湾で商標を登録したほか、国家発明創作賞(National Invention and Creative Award)、台湾精品賞(Taiwan Excellence Awards)、産業科技発展賞(Taiwan Industrial Technology Advancement Awards)等を受賞し、「N次貼(英語名:Stick'n)」製品の売上高は世界市場において米国の3M社に次いで2位を占めており、すでに著名商標となっている。
 さらに判決書では、両社の製品はいずれもコンビニエンスストアにて販売され、且つ聚和国際の商品の発売日が文品国際の商品より約3ヵ月早いため、文品国際の行為はたとえ故意ではなかったとしても過失であると指摘している。裁判所は聚和国際が提出した試験比較報告書、試験過程の写真、及び法廷での両社製品の貼付け比較も参考とした結果、文品国際の製品品質は明らかに聚和国際に劣っており、文品国際は商標権を侵害し、聚和国際の商業上の信用を毀損したとの判決を下した。(2015年12月) 
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