産業創新条例改正案が立法院通過、従業員報酬株式と知的財産権での取得株式に対する課税を猶予

J151216Y9 2016年1月号(J197)
 人材と技術は企業が発展するための重要な資本であり、近年台湾の人材流出が深刻であり、技術力が不足していることに鑑み、立法院は2015年12月15日「産業創新条例(産業イノベーション条例)改正案」を可決した。知的財産権での現物出資による取得株式に対する課税猶予等の条文を新設し、台湾産業の競争力向上を目指している。今回の改正の重点は以下のとおり。
 一.従業員報酬株式に対する課税猶予:企業に優秀な人材を留めるため、今回の改正では第19条の1を新設した。従業員が取得した報酬株式は所得税の納付を5年間延期してもよいこととする。従業員報酬株式、従業員有償増資ストックオプション、自己株式、新株予約権証券、制限付き株式報酬(即ち制限付き株式)等の主な報酬株式の類型はすべて適用範囲に含まれる。
企業が従業員への報酬ツールをより柔軟に運用できるように、工業局は、実務上、従業員の本社と子会社との間の異動及び新興事業の発展や海外における子会社設立による業務拡大に対するニーズを考慮して、適用対象を企業以外に、一定の条件を満たす従属会社の従業員にも広げた。但し経理人(支配人)を兼任する董事長(代表取締役)及び董監事(取締役・監査役)を対象から除外すると同時に、1人当たり年500万新台湾ドルを上限とする等の規定を設定し、人材を留めるツールを効率的に運用できるように導く。
 二.知的財産権での現物出資による取得株式に対する課税猶予:イノベーション研究開発成果の流通と応用を促すため、今回の改正では第12条の1を新設し、個人又は企業が自ら研究開発して得られた知的財産権について現物出資の方法で上場企業・株式店頭公開企業へ譲渡又は使用許諾を行う場合、それにより取得した株式は所得税の納付を5年間延期してもよいこととする。
工業局によると、譲渡や使用許諾の対象が上場企業又は株式店頭公開企業ではない場合は、中小企業発展条例第35条の1規定に照らして株式を実際に譲渡する際に所得税申告を行うとのことである。
また、企業が取得した知的財産権に収益がある場合、研究開発費の2倍額を控除するか、研究開発投資額について租税減免を受けるか、いずれか一つの優遇措置を適用できることとして、イノベーション技術の産業化を促進する。
 三.企業による研究開発投資に関する減免の年限延長:現行第10条の研究開発投資に関する減免規定について、ニュービジネスは立ち上げ当初の新製品研究開発期間において量産するに至らないため利益を上げることができない上、さらに研究開発期間が比較的長く金額も大きいという状況があり、その研究開発費について当年度に税金の減免を受けられない。
 このため、産業界の実際のニーズに合わせ、企業の研究開発費について減免率15%で当年度の営利事業所得税減免を受けるか、又は3年間にわたり減免率10%で減免を受けるか、いずれかを選ぶことができるように改正し、柔軟な方法を提供することで業者がイノベーション研究開発へ投資する誘因を強化し、企業が研究開発へ投資し続けるよう導く。
 工業局によると、今回の改正は台湾産業が人材を惹きつけ、技術力を高めるという両面に役立つもので、経済部も関連法規の策定に着手し、企業が新規定の適用を申請できるようにするとしている。(2015年12月) 
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