著作権法の大幅改正、草案が間もなく完成

J160114Y3・J160113Y3 2016年2月号(J198)
 知的財産局が発表したニュースリリースによると、著作権の利用が民衆の日常生活における様々な局面に関わり、ネットワーク、デジタル・コンバージェンス(デジタル融合)、クラウド・テクノロジー、電子ブック、IPTV等新興技術の応用も絶え間なく新陳代謝が行われ、現行の著作権法は時代の流れに即することが迫られているという。わが国の著作権法は1998年改正以降、多数回にわたって改正されているが、いずれも既存の骨格を基礎としており、大幅な変更は行われていない。ネット時代とデジタル・コンバージェンスの発展に対応するため、積極的な研究分析、関連の機関、業者及び学者・専門家に対する諮問を行い、今回提出される改正草案は現代社会のニーズに合ったものとなっている。
 今回の大幅改正について、知的財産局は改正の背景と効果を以下のとおり簡単に説明している。
 一.デジタル・コンバージェンス環境への適応について:デジタル・コンバージェンスによって権利の境界線が曖昧になってきている。テレビ番組は従来の放映以外に、ネットで配信される(例:MOD)ようになり、「公開放送(原文:公開播送)」なのか、それとも「公衆送信(原文:公開傳輸)」なのか争議が頻発しており、また産業界の利用許諾にも不利となっている。よって今回の改正では公開放送と公衆送信の定義を明確にし、「同時」送信は「公開放送」、「インタラクティブ」送信は「公衆送信」として、今後は技術で区分することはせず、これにより適用がさらに明確になる。さらにインターネット及び伝播設備の発展については、「再公衆伝達権(原文:再公開傳達權、訳注:公開放送される著作物を拡声器で又はその他の受信器材で受信してさらに公衆に伝達する権利)」を新たに新設し、著作権者の権益保護を強化する。
 二.デジタル時代に対応した合理的利用規定について:科学技術の発展により遠隔教育が教育の流れとなっているが、現行著作権法では遠隔教育の合理的利用規定が欠落している。今回の改正では遠隔教育に関する合理的利用規定を新設し、法に基づいて設立された各種学校と教師が登録されている学生に対して行う遠隔教育、さらには一般民衆の学習に開放する非営利目的の遠隔課程(例:MOOCs:Massive Open Online Courses)については著作権者に対して報酬を支払う必要があるとしている。また、社会の劇的な変化に伴い、文化保存のデジタルアーカイブに対するニーズも高まっており、今回の改正では、国家図書館が文化保存目的に基づいてデジタルアーカイブを合理的に使用できる規定を新設している。
 三.孤児著作物の強制許諾規定の新設について:科学技術は古い著作物に新たな用途を与えることができるが、著作財産権者が見つからないという許諾の問題に直面しており、わが国の文化創意産業発展法(Law for the Development of the Cultural and Creative Industries)第24条において著作財産権が不明である場合の強制許諾制度を規定しているが、文化創意産業に限って適用される。著作物の流通・利用を促進し、利用者が利用許諾取得のため著作権者を探す相当の努力を払ったにもかかわらず見つからなかった場合も孤児著作物のルートを利用することができるように、著作財産権者が不明である場合の強制許諾規定を新設する。さらに著作財産権者が不明である著作物を利用する時効性と著作権主務機関による審査効率の向上の両面から考慮し、日本の立法例を参考として、著作権主務機関の審査期間において、利用者は補償金を供託すれば、先に利用できるよう規定している。
 四.時勢に合わない刑事責任規定の改正検討について:一部の著作権に係る刑事責任規定、例えば正規版頒布の刑事責任及び6ヵ月の法定刑下限は軽重の不均衡という問題が現れており、罪責が不相当で、「刑法の謙抑性」原則に反しており、今回の改正で併せて改正を検討する。
 今回の著作法改正案はデジタル時代がもたらした様々な課題について適当な調整を行い、優れた著作権法制環境を構築し、わが国の文化発展と創意を促進するものであり、知的財産局は第三稿を基礎とし、各界のコンセンサスを得て、意見を参酌して調整を行い、改正を急いで進めていく。
 最後に、環太平洋戦略的経済連携協定(The Trans-Pacific Partnership,TPP)への加入を達成するため、行政院は各機関に対して早急に国内関連法規の改正内容を提出するよう要求している。行政院の法改正スケジュールに合わせて、知的財産局は著作権保護期間の延長とパフォーマーに関する課題についてすでに著作権法改正の研究に着手しており、2016年初に文化部とともに産業諮問会議及び公聴会を開き、各界との意見交流と説明を行うことを計画している。(2016年1月)
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