知的財産裁判所がモーテル「香奈兒」に名称変更と賠償金300万新台湾ドル支払いを命令

J160203Y2 2016年3月号(J199)
 台中市の某モーテル業者は香奈兒と命名しただけではなく、寝具や室内備品にも類似の文字を使用しており、その英語名は一見するとCHANELとほぼ同じで、唯一の違いはアルファベッド「N」1文字が多いことだけであったため、海外のCHANEL社から提訴されていた。知的財産裁判所は、「香奈兒」等商標に関連する消費者におけるファッショナブル、高級品、気品等というブランドイメージに影響を及ぼし、CHANEL社の信用・名声を減損させていると認定し、モーテル業者に対して今後「香奈兒、香奈爾或いはCHANEL」等類似の名称の使用を禁止するとともに、判決主文を新聞に掲載し、賠償金300万新台湾ドルを支払うよう命じる判決を下した。
 判決文によると、スイス企業・CHANEL SARL社とフランス企業・CHANEL社が所属する「CHANELグループ」は世界的に著名な香水、化粧品、アパレル等のメーカーであり、1960年から台湾で「CHANEL」、「香奈兒」等の商標権を次々と取得している。2002年8月に紀○○○等業者が提携して台中市に「香奈兒休閒旅館」(2015年1月15日すでに名称変更)をオープンし、看板、DM、ドメイン名及び寝具、室内設備等にいずれも「香奈兒」と同じ、或いは「CHANEL」に類似した文字を使用したという。CHANEL社側はこれらの行為が消費者に誤認混同を生じさせるとともに、「香奈兒」等商標の識別力と信用・名声を減損させたとして、400万新台湾ドルの賠償金を請求するとともに、モーテル業者に類似の名称を今後使用しないよう求めた。
 モーテル業者側は答弁において、同社はモーテル経営を業とし、主な収入源は宿泊又は休憩の料金であり、「香奈兒」を商号、社名として使用したことがあるが、この名義でいかなる商品を販売したこともなく、現在はすでに名称を「香馜兒」に変更しており、CHANEL社の商標を付した商品を販売しておらず、さらにCHANEL社は高級品、アパレル等の販売が主であり、台湾において旅館業を経営していないため、両者の関連する消費者は明らかに区別化され、誤認混同に至らないと主張していた。
 知的財産裁判所の裁判官は、モーテル業者が「香奈兒」を商標に使用したことは、CHANEL社の「香奈兒」と「CHANEL」という著名商標の業務上の信用へのただ乗りであり、それが経営する宿泊サービスとCHANEL社の高級品とはイメージが大きく異なり、関連の消費者に誤認混同を生じさせ、「香奈兒」等商標の識別力と信用・名声を減損させたと認め、連帯でCHANEL社に財産的損害及び非財産的損害の賠償金計300万新台湾ドルを支払うよう命じる判決を下した。本件はさらに上訴することができる(2016年2月)
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