日台租税協定が発効、2017年1月から適用開始
J160616Y8・J160616Z8 2016年7月号(J203)
財政部によると、日台租税協定(訳注:正式名称は「所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための公益財団法人交流協会と亜東関係協会との間の取決め」で、2015年11月26日に公益財団法人交流協会と台湾の亜東関係協会が調印)は2016年6月13日に発効し、台湾にとって東北アジア国家と結ぶ初の包括的租税協定、30番目の租税協定であり、これにより日台間の相互投資促進や経済貿易関係の緊密化につながり、さらには双方の技術協力及び文化交流を深めることができるという。各租税減免優遇措置は、台湾では2017年1月1日から、日本では2017年4月1日からそれぞれ適用が開始される。
日台租税協定の適用対象は台湾と日本の税法に定められる居住者で、適用範囲は所得税。主な減免措置は、営業利益(事業利得)について、台湾又は日本の企業が相手国において事業に従事し「恒久的施設(Permanent establishment、略称PE)」を構成しないときは、その「営業利益」は免税となることである。恒久的施設には、(1)固定的PE(事業の管理の場所、支店、事務所等)、(2)工事PE(工事が6ヵ月を超える期間存続する場合)、(3)役務PE(役務提供が12ヵ月の間において合計183日を超える期間(一方の地域内において)行われる場合)、(4)代理人PE(台湾又は日本の企業に代わって行動する者で、当該企業の名義で相手国にて契約を結び権限を有し、かつこの権限を経常的に行使する)が含まれる。ただし、相手国に固定の営業場所(例えば出荷倉庫)を設置し、企業が保有する物品又は商品の保管、展示又は引渡しのためにのみを行う場合、専ら企業のために物品若しくは商品を購入し、又は情報を収集するなど準備的又は補助的な活動を行う場合は恒久的施設とはみなされない。
投資所得の部分については、配当、利子及び使用料(ロイヤリティー)の最高税率が10%に引き下げられた。財産取引所得(譲渡収益)についても免税対象となる。
財政部のニュースリリースによると、日台租税協定の発効後、日本企業に対して台湾投資への高い誘引力をそなえるようになる。また日台租税協定が平等且つ互恵的に双方の居住者に適用されることにより、台湾企業が日本で類似の運営方式で事業に従事でき、日本において類似の減免税による利益を享受できるようになる。(2016年6月)