刑事訴訟法が立法院を通過、没収及び保全差押えの新規定が登場

J160527Y9 2016年7月号(J203)

立法院で2016年5月27日、第三読会で「刑事訴訟法一部条文(没収、保全差押え関連条文)改正案」が可決されたため、2016年7月1日から施行される。「没収特別手続き」編が新設され、刑事事件における第三者所有物没収及び没収宣告(没収保全命令)に対してのみの請求について、関連の手続き規定が制定されている。その中には、検察官は起訴時又は審理中のいずれにおいても裁判所に対して第三者所有物の没収を請求することができること、手続きに過剰な費用を要するため訴訟経済に合わないとき、検察官の同意を得て、裁判所は第三者財産の没収を免じてもよいこと、裁判所による第三者財産没収の要否の認定にかかわりなく、いずれも判決主文において告知しなければならないこと、その没収判決に対してのみ裁判所に上訴を提起することができ、(その効力は)本案裁判に及ばないことが含まれる。
 事件が取調、審理中において、犯罪関連の利得をすぐに保全差押えすることができず、判決が確定するまで待つと、被告が財産を隠すか、使い果たすかしてしまい、執行できなくなり、犯罪利得をはく奪する目的を達成できない。判決確定後の没収執行を確保するため、今回の法改正では追徴保全ための差押えの関連規定も新設されている。さらに差押対象物が債権等であるときの差押方法及び禁止処分の効力が規定されている。また差押えの原則は裁判官留保原則を採用し、裁判所に差押決定を為すよう請求しなければならないが、司法実務の実施に有利となるよう、例外的に証拠物の差押え、捜査に付随する差押え、差押対象物の権利者による同意や状況の急迫などの場合においては、裁判所に差押決定を請求する必要がなくなる。
 さらに差し押えた財産について価値が低下する、保管に過剰な費用が必要である等の状況において、検察官は取調べ中に再評価してもよい。さらに差押えの目的と比例原則のバランスを図るため、担保金で差押えに代替する規定を新設している。
 また取調べ中の強制処分請求事件の審理に対応して、今回法院組織法第14条の1を新設し、地方裁判所と高等裁判所にそれぞれ刑事強制処分法廷を設置し、取調べ中の強制処分請求事件の審理を行うと規定した。
 2015年12月30日改正公布された刑法では「沒收」の新規定が設けられており、刑法施行法第10条の3規定により、今回刑法の条文が改正され、2016年7月1日から施行される。施行日前に制定されたその他法律の没収、追徴、追納、補償に関する規定は今後適用されなくなる。このため、刑法の新規定に対応して、行政院は2016年6月23日に「商標法」第98条、第111条改正案を可決した。商標権を侵害する物品については、なお現行の「絶対義務没収」(訳注:商標権、証明標章権又は団体商標権を侵害する物品又は文書は、犯罪行為者の所有に属するか否かを問わず、すべて没収する)の特別規定が維持され、わずかに文言の改正のみを行っている。刑法の新たな没収規定に合わせて2016年7月1日から施行される。(2016年5月)

TIPLO ECARD Fireshot Video TIPLO Brochure_Japanese TIPLO News Channel TIPLO TOUR 7th FIoor TIPLO TOUR 15th FIoor