独RIMOWAが模倣品を告訴、知的財産裁判所が台湾業者に敗訴の判決
J160927Y4 2016年10月号(J206)
ドイツの著名なスーツケースブランド「RIMOWA」を製造するリモワ社(Rimowa GMBH)は、該社が1950年から採用している「グルーブデザイン(Groove design)」(訳注:スーツケースの本体に平行に入った凸凹のリブ加工のデザイン)を台湾の加賀精品行、聯瑩国際有限公司(Lian Yin International Co., Ltd.)、育丞国際有限公司(Y.C. Eason International Co., Ltd.)、冶亮実業有限公司(Lead Ming Co., Ltd.)、沅大国際有限公司(Yuan Ta International Co., Ltd.)等5社が模倣している疑いがあるとして、100万新台湾ドルの賠償金を請求するとともに、加賀精品行等5社に対する「グルーブデザイン」の使用禁止を請求していた。知的財産裁判所は審結後、請求額全額を賠償するよう命じるとともに、5社に「グルーブデザイン」と同一又は類似の各種スーツケースの販売を禁じる判決を下した。
リモワ社によると、該社は1898年にドイツで創業され、「グルーブデザイン」はかつてルフトハンザ(Lufthansa)とユンカース(Junkers)の飛行機に施された金属表面のデザインを参考としたもので、デザイン理念はそれが飛行機の旅に適するスーツケースであることを表彰することである。また該社が自社で製造販売するスーツケースに採用する「グルーブデザイン」は、早い時期から関連の業者と消費者が熟知し、出所を識別する依拠となっており、識別性が高いスーツケースのトレードドレスを有する。さらに該社は2010年から台湾で巨額の広告費を投じて「グルーブデザイン」を有するスーツケースのマーケティングを行っており、著名な雑誌でも報道されている。
リモワ社は、台湾の加賀精品行を含む5社が製造・販売する「Eason」、「LEADMING」等ブランドのスーツケースには約1インチ幅で平行な長い溝を有するデザインが施され、溝同士は腰折れ模様で区画されている点等がRIMOWAの「グルーブデザイン」のトレードドレスに高度に類似していると判断し、公平交易法(訳注:日本の不正競争防止法、独占禁止法に相当)に違反しているとして知的財産裁判所に提訴した。
それに対して加賀精品行等の企業は、リモワ社は自社ブランド立上げ当初から「グルーブデザイン」だけを使用してきたわけではなく、1950年に溝模様デザインをスーツケースに使用し始めたが、その外観は変化し続け、すべてがリモワ社のいうところの「グローブデザイン」であるということではなく、さらにこれらの権利侵害疑義商品はいずれも新製品であり、その創意は溝の幅、腰折れ模様の反射やコーナー金具等において突出しており、すでにRIMOWAの単純なグルーブから逸脱するものであるため、模倣製品ではなく、消費者が識別するのに十分であり、取引の秩序に影響をもたらすものではない、と抗弁した。
知的財産裁判所は斟酌した結果、リモワ社は台湾においてグローブデザインを広告の主軸とするとともに、フラッグショップと支店を設置して、業績は2003年の74万2850新台湾ドルから急成長を遂げ、2013年には7億1270万2400新台湾元に達しているほか、この「グルーブデザイン」スーツケースは著名人にも愛用されており、RIMOWAスーツケースの外観である「グルーブデザイン」は商品出所を識別する機能をそなえ、かつ著名なトレードドレスであり、加賀精品行等が販売するスーツケースの外観は類似の使用となっており、公平交易法規定に違反するものであると認定し、加賀精品行等5社に対して「グルーブデザイン」に類似する各種スーツケースの販売禁止とともに、リモワ社に100万新台湾ドルの賠償金支払いを命じた。本件はさらに上訴できる。(2016年9月)