「KANO」商標争奪戦で阿里山精品公司が敗訴

J161102Y2 2016年12月号(J208)
    阿里山精品国際有限公司(Alishan of Art Co., Ltd.、以下「阿里山精品公司」)は2014年に有名な映画タイトル「KANO」を以って商標登録を出願して許可を得ていたが、国立嘉義大学(National Chiayi University、以下「嘉義大学」)がこれを発見して異議を申し立てたため、同商標は取り消された。阿里山精品公司はこれを不服として行政訴訟を提起した。知的財産裁判所は、両商標の図案は類似度が極めて高く、さらに嘉義大学が先に「KANO」商標出願の許可を得ており、相当の識別力を有するため、阿里山精品公司が同じ商標を使用すると消費者に誤認混同を生じさせると認め、阿里山精品公司に敗訴の判決を言い渡した。
    判決書によると、阿里山精品公司は2014年に「木製容器、木製箱、檜製家具」等木製品での使用を指定して「KANO」商標の登録を出願して許可されたが、嘉義大学がこれを発見して異議を申し立て、知的財産局は審理した後に登録を取り消した。阿里山精品公司はこれを不服として行政訴願を提起したが、棄却された。阿里山精品公司はなおこれを不服として知的財産裁判所に提訴し、自ら登録していた「KANO」商標の使用区分は「製品」であるのに対して、嘉義大学の「KANO」商標の区分は「未加工の木材」であり、両者の購買層と取引の範囲が異なるため、誤認混同が生じる可能性はないと主張して、訴願決定及び原処分の取消しを請求した。
    嘉義大学の主張によると、KANOは同校の前身、嘉義農林学校の略称である「嘉農」の日本語読み(ローマ字表記)で、これは独創的商標である。嘉義大学は商標についてイベント等における使用を許諾しており、衣・食・住・交通と広範囲にわたり、多角経営を行っている。さらに校友が現金を寄付し、嘉義市中山路に「KANO精神」を象徴する雕像を建てており、阿里山精品公司も嘉義市に位置するため、「KANO」商標が刻印されている雕像の存在を知らないはずはない。よって阿里山精品公司はこの商標の存在を知らないという理由はない。
    知的財産裁判所によると、兩商標の図案はいずれもデザインを施されていない単純なもので、排列も同じ4文字のアルファベットを横書きして構成され、そのアルファベットの字体と形態は酷似しており、外観、観念、称呼及び指定商品・役務の区分を問わずいずれも類似している。さらにKANOは「嘉農」の日本語読みであり、外国語にはこの意味がなく、該商標が使用を指定する未加工木材又は木製品とは関連がない。消費者はそれを商品の出所を示し、区別する標識とみなすため相当な識別力を有する。嘉義大学の出願が先に許可を得ており、より大きな保護を受けるべきであり、さらに多角経営が行われており、「KANO」商標が相当な知名度を得た後に阿里山精品公司が同じ商標の登録を出願したことは善意によるものではない。よって知的財産裁判所は阿里山精品公司に敗訴の判決を言い渡した。全案につき上訴できる。(2016年11月)
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