刑事訴訟法改正案が第三読会を通過、勾留請求された被疑者と弁護人は証拠書類開示請求権を有する
J170422Y9・J170421Y9 2017年5月号(J213)
司法院のニュースリリースによると、司法院釈字第737号解釈で示されている取調べ段階の勾留適否審査過程において被疑者とその弁護人が証拠書類情報を知る権利を保障するという趣旨を実現するため、該解釈の公布日から1年以内に刑事訴訟法の関連規定を改正するという。これに対して立法院は2017年4月21日に第三読会で「刑事訴訟法一部条文改正案」を可決し、わが国の刑事訴訟における取調べ段階の勾留適否審査過程にある被疑者とその弁護人に対する証拠書類を知る権利の保障について新たな一里塚を築いた。
司法院によると、今回の通過した改正条文はわずか4条だが、取調べ段階の勾留適否審査過程にある被疑者とその弁護人に対する証拠書類を知る権利の保障に甚大な影響を及ぼすものである。主な4点は次のとおり。
一.取調べ段階の勾留は起訴前に人民の身柄を拘束する最も厳しい強制処分であり、手続き上の保障を最大限に与えるべきである。新法第31条の1は強制弁護制度を、取調べ段階における検察官による被疑者勾留請求、勾留延長、再勾留請求に対する裁判所の審査及びその救済手続きにまで拡大するというもので、被疑者が弁護人を選任していない場合、裁判長は被疑者を弁護する公設弁護人又は弁護士を指名しなければならない。ただし例外があり、指名した弁護人が4時間以内に到着できず、被疑者が自ら尋問請求をしたときはこれに限らない。しかしながらこの部分については国選弁護士の出所やそれに必要な予算の計上に影響が及ぶため、順調に施行するためには相当な準備期間が必要であり、刑事訴訟法施行法第7条の10には2018年1月1日から施行すると定められている。
二.被疑者とその弁護人が取調べ段階の勾留適否審査手続きにおいて享受すべき適切な情報を知る権利を保障して、防御権を行使できるようにする。新法では第33条の1が新設され、取調べ段階の勾留適否審査手続きについて、弁護人は原則的に審判段階と同じく完全な資料開示請求権を有すること、弁護人がいない被疑者は適切な情報を知る権利を有することが定められている。ただし国家刑罰権の正確で有効な行使を担保するため、弁護人は閲覧、抄録又は撮影して所持する又は知り得た資料について公開、開示又は正当ではない目的での使用を行ってはならない。
三.被疑者とその弁護人が証拠書類を知る権利は保障されているが、国家刑罰権の実現を確保できるように、証拠の隠滅、偽造、変造又は共犯者や証人との口裏合わせ等の調査目的に危害を与える或いは他人の生命、身体に危害を与えるおそれがあると十分に認められる事実がある場合は、勾留請求に関する証拠を知る権利を制限又は禁止できる。新法第93条第2項には、証拠書類に調査目的に危害を与える或いは他人の生命、身体に危害を与えるおそれがあるときは、検察官は取調べ手続の主導者として、事件の状況と取調べの動態を熟知していることに基づき、裁判所は勾留適否審査過程において適度に尊重すべきであり、直ちに開示するのは好ましくないと定められている。ただし被疑者とその弁護人が一部の証拠書類を知る権利を禁止することに対して、取調べ非公開原則に基づいても正当な法律手続きの実施を妨げることはできず、新法第101条第3項の但書にて、裁判所が被疑者とその弁護人への開示を禁じた一部の証拠書類を、勾留審査の依拠として採用してはならないと定められている。
四.裁判所が取調べ段階の勾留適否審査手続きを受理していつも深夜に開廷することを回避する。被疑者に対する司法警察、検察官の尋問が終わると夜になってしまい、検察官が裁判所に勾留請求すると、裁判所の尋問は深夜になり、時に深夜から早朝に及ぶこともあり、被疑者が十分に休憩せずに答弁し、疲れて尋問を受けるおそれを免れない。改正条文第93条第5項では、人権を保障するため、裁判所が受理した検察官からの取調べ段階の勾留請求案件について深夜尋問を行う要件が定められている。(2017年4月)