LVの著作物と商標を盗用、「阿邦師」に908万新台湾ドルの損害賠償支払い命令判決
J180814Y2・J180814Y3 2018年9月号(J229)
有名なオークション業者である「阿邦師」グループ(Bang-Master Group)は同意を得ずに、それが出版する書籍、ポスター、教材等に、フランスの有名ブランドであるルイ・ヴィトン(LV)が撮影した著作物(訳註:LV自身が撮影した写真と動画の静止画。以下「著作物」)とLVの商標を使用し、店舗のシャッターにもLVのバッグの図案を描いていたため、LVはそれが業務上の信用にただ乗りしたものだとして告訴し、阿邦師グループに3000万新台湾ドル余りの損害賠償金を請求していた。知的財産裁判所はすでに阿邦師グループがLVの商標権と著作権を侵害していると認め、同グループ(阿邦師股份有限公司とその代表者である李○○等を含む)に損害賠償金908万新台湾ドルの支払いを命じた。
ルイ・ヴィトン社(Louis Vuitton Malletier)は次のように主張した。阿邦師グループが出版した『LV防偽鑑定書(LV模倣品防止鑑定書)』、『求真與防偽─國際精品系列鑑定─路易威登系列鑑定(本物の追求と模倣品の防止-世界の高級品シリーズ鑑定-ルイ・ヴィトンシリーズ鑑定)』等の書籍、ブランド品競売会宣伝ポスター、「國際奢侈品鑑定師Level1(国際奢侈品鑑定士レベル1)」課程教材、「LV防偽密笈十大絕招(LV模倣品防止の秘訣10の裏ワザ)」宣伝カード及び店舗「桃園尊爵店」のシャッター等にLVの著作物と商標が盗用されていた。
それに対して李○○は次のように主張している。自分1人で会社のすべての業務も把握することは不可能であり、従業員にLVの図案を使用するよう指示したことはなく、またLVの店内のデコレーションやバッグ等はだれでも撮影することができ、著作物を盗用している状況はない。さらには『LV模倣品防止鑑定書』と『本物の追求と模倣品の防止-世界の高級品シリーズ鑑定-ルイ・ヴィトンシリーズ鑑定』の両書籍は一般民衆が模倣品を防止するのに役立つため、LVにとっては逆に有益なものであり、侵害ではない。
裁判官は、阿邦師グループが書籍、ポスター、教材にLVが撮影した図(著作物)を使用し、「桃園尊爵店」店舗のシャッターにLVのバッグの図案を描いたことは、LVの著作権を侵害しており、また書籍と宣伝カードにLV商標を使用したことは、LVの商標権を侵害していると判定し、阿邦師グループに敗訴の判決を言い渡し、判決主文を新聞に掲載するよう命じた。全件はさらに上訴できる。(2018年8月)