漫画家蕭言中氏の作品を盗用、知的財産裁判所は懲役6ヵ月の判決
J190105Y3 2019年2月号(J234)
漫画家である蕭言中氏が創作した「The Moment」動物キャラクターシリーズの漫画が、マーケティングの専門家を自称する賈釗に盗用され、「The Mouse」シリーズの広告文に組み込まれ、「Angel TALK法國軟麵包專賣店(フランスパン専門店)」FBファンページにアップロードされるとともに、コレクションカードとして販売された。民事訴訟の部分について、知的財産裁判所はすでに賈釗に対して300万新台湾ドルを賠償するよう命じるとともに、「Angel TALK」FB所有権者である畢○○にも連帯賠償の中の30万新台湾ドルを支払うよう命じる判決を下している。刑事訴訟の部分については、一審で台南地方裁判所が賈釗に対して著作権法違反により8ヵ月懲役に処す判決を下し、賈釗はこれを不服として上訴していたが、知的財産裁判所は6ヵ月の懲役に処すとともに、1日あたり2000新台湾ドル、計36万新台湾ドルの罰金への転換も可とする判決を下した。さらに上訴できる。
蕭言中氏は以下のように主張していた。つまり蕭氏は2013年8月に北京で「The Moment蕭言中作品展」を開催しており、「The Moment」シリーズ漫画キャラクターの著作権者であり創作者でもある。しかし賈釗はその同意や許諾を得ずに、マウスで再描画、模写して、「The Moment」シリーズの一部の漫画キャラクターに局部的な修飾を施し、蕭氏が書いた言語の創作(著作物)を書き直しただけで、新たに「The Mouse」シリーズの広告文とし、「Angel TALK法國軟麵包專賣店」のFBファンページに貼り付け、賈釗自身の写真と組み合わせることで、他人にこの広告の図案や文章を賈釗本人の創作であると思わせようとした。さらに賈釗は動物キャラクターを盗用し、印刷して塗り絵をできるペーパーナプキンを製作して、台南市にある書店「塗鴉空間」にて顧客の使用に供し、また画作を枠に入れて展示し、さらにコレクションカードを印刷して、1枚あたり5000新台湾ドルで販売しており、その権利侵害は重大である。
賈釗は上訴において以下のように主張した。2013年に蕭言中氏と提携したことがあり、蕭氏がその一切のマーケティング手法について(利用を)許諾し、「The moment」シリーズの動物キャラクター漫画を複製し改作することに同意していたため、その模倣の手法で「The Mouse」シリーズに改作した。それは複製ではなく、改作に該当するものであり、蕭氏との和解を望んでいる。原判決の取消しを請求する。
裁判官は、蕭氏と賈釗の両者が描いた「The Moment」と「The Mouse」シリーズを対比したところ、両者が描いている図案はいずれも「猫」、「犬」、「馬」であり、描線の太さ、カーブ、方向、大きさ、各部位の割合など全体の配置構図が実質上類似しており、しかも賈釗の描き方は一目見ただけですぐに蕭氏と同じ手法で創作したことが分かり、賈釗は警察の取調べ時に「The Mouse」シリーズの「猫」、「犬」、「馬」の図案は蕭氏の作品を参考として作成したことを認めており、賈釗による改作の主張は採用できないと判断した。ただし、賈釗が複数回にわたって蕭氏との和解の意向を示し、権利侵害の期間も長くはなく、すでに撤去していることを考慮すると、本件は私人間の財産権に係る犯罪であり、賈釗を収監して服役させる必要はないと考え、情状を酌量して懲役6ヵ月(罰金刑に転換可)との判決を下した。(2019年1月)