「洪瑞珍」商標権を侵害 「洪家手作」経営者夫妻にそれぞれ懲役6ヵ月の判決
J220512Y2 2022年6月号(J274)
洪瑞珍餅店の二代目経営者である洪峻聲氏は「洪瑞珍」等商標の商標権者であるが、従妹の洪毓姍氏とその夫である蔡志明氏が経営するサンドイッチ販売店「洪家手作」の新荘支店、台北駅支店等で「洪瑞珍」の文字、円形の中に「洪瑞珍」の文字を配置した図案、及び「HUNG RUI CHEN」の文字を商標として使用し、商標権を侵害したと告訴した。本件は検察官により起訴され、新北地方裁判所は審理の末、商標法違反を認め、洪毓姍夫妻にそれぞれ6ヵ月の懲役刑を言い渡した。本件はさらに上訴できる。
判決書では次のように指摘されている。2018年8月1日に洪毓姍夫妻は商標権争議を巡り洪峻聲氏と和解書を取り交わしていた。しかしながら洪毓姍夫妻は2018年8月1日から2020年4月までの間に自らが経営するサンドイッチ販売店「洪家手作」の新荘支店、台北駅支店等で「洪瑞珍」の文字、円形の中に「洪瑞珍」を配置した図案及び「HUNG RUI CHEN」の文字、「洪瑞珍三明治(訳注:洪瑞珍のサンドイッチの意)」、「洪瑞珍二代概念店(訳注:洪瑞珍第二世代のコンセプトショップの意)」、「洪瑞珍洪家手作三明治(訳注:洪瑞珍の洪家の手作りサンドイッチの意)」等を使用した。「洪瑞珍」の文字が表示された場所には、看板、店内のお知らせ、ファンサイトにおける宣伝図案、各種商品包装、領収書、名刺、デリバリーサイト等が含まれ、いずれも消費者が実店舗やネット上でよく見かける場所であり、かつ前記文字が表示された場所、配置された位置と意味はいずれも、洪毓姍夫妻の経営する店は洪峻聲氏が開いた店又はライセンス供与した店であると一般消費者に認識させるに十分である。さらに「洪瑞珍三明治」、「洪瑞珍二代概念店」、「洪瑞珍洪家手作三明治」等はいずれも洪毓姍夫妻が販売する商品又は経営する役務の出所が「洪瑞珍」であることを示しており、商標の使用を構成している。
さらに判決書では次のように述べられている。「洪瑞珍」等商標は台湾で高い知名度を有し、洪毓姍夫妻は私利を追求するため、洪峻聲氏と和解した後、なお同一又は類似の商品及び役務における「洪瑞珍」の文字、円形の中に「洪瑞珍」を配置した図案及び「HUNG RUI CHEN」の文字等に高度に類似した商標を恣意的に使用し続けたものであり、消費者に誤認混同をもたらし、市場メカニズムを乱すのみならず、間接的に台湾の知的財産権保護に係る制度と政策にも危害をもたらすものである。ましてや洪毓姍夫妻の商標権侵害期間は1年以上に及び、犯行後も犯行を否認し、現時点までに和解又は賠償を行っていないため、それぞれ懲役6ヵ月に処す。(2022年5月)