国家安全法改正案が立法院第三読会を通過 国家コアテクノロジーの窃取に最高12年の懲役
J220520Y4・J220520Y9 2022年6月号(J274)
国家安全法一部条文改正案が2022年5月20日に立法院の第三読会を通過した。これによると、何人も外国、中国及び香港、マカオ、並びに国外の敵対勢力のために、窃取、横領、詐欺、強迫、無断複製等の不正な手段により国家コアテクノロジー(原文:國家核心關鍵技術)の営業秘密を取得したり、取得した後に使用、漏洩したりしてはならず、違反した者は5年以上12年以下の懲役刑に処し、500万新台湾ドル以上5000万新台湾ドル以下の罰金刑を併科することができる。
また、新法では「営業秘密の域外使用罪」を追加し、違反した者は3年以上10年以下の懲役刑に処し、500万新台湾ドル以上5000万新台湾ドル以下の罰金刑を併科することができ、未遂犯も罰するとしている。
第三読会で可決された改正条文には、軍人・公務員・教員及び公営事業機関(訳注:政府所有企業(GOE)に相当)の職員は現職又は(老齢・定年による)退職を問わず、前記罪を犯したときは、退職金を受給する権利を失い、すでに受給した者は、返還を請求しなければならないと明記されている。
営業秘密は膨大な商業利益に関わる可能性があることから、改正条文では、罰金の上限は不正な利益に応じて柔軟に調整することができ、犯罪行為者が得た利益が罰金最高額を上回るときは、利益の2倍から10倍の範囲内で加重を酌量することができると規定されている。
新法では調達禁止条項も追加されている。軍事に係る工事、物品又は役務の調達に対して、中国又は海外の敵対勢力が製造したものだと知りながら納品したときは、最高7年以下の懲役刑に処し、3000万新台湾ドル以下の罰金刑を併科することができる。不正な軍用武器、弾薬、作戦物資だと知りながら納品又は提供したときは、最高10年以下の懲役刑に処し、5000万新台湾ドル以下の罰金刑を併科することができ、且つ罰金は不正な利益に応じて2倍にすることができる。
このほか、今回の改正では、裁判所が国家安全法違反の犯罪事件を審理するとき、専門法廷を設立したり、専門チームを指定したりできることも規定されている。(2022年5月)