「台灣古董雜貨珍藏圖鑑」の独創性欠如 図鑑内の図案を広告看板に使用しても著作権法違反に該当せず
J220701Y3 2022年8月号(J276)
彰化の詹○○は友人がレトロな雰囲気のレストランを経営するため、書籍「台灣古董雜貨珍藏圖鑑」の中の「花王洗髮乳」等の図11枚を撮影機材で撮影して複写し、広告看板の写真として使用した。事後に著者である胡○○から著作権に違反しているとして告訴されたが、裁判官は、これらの図鑑は昔の台湾の骨董品や雑貨の外観を提示しているにすぎず、独創性を有しないため、著作権の保護を受ける写真の著作物ではないと認め、詹○○に無罪の判決を言い渡した。
判決書によると、詹○○は友人である彭○○のため店舗「蒝味蔬食懷舊小吃」を企画し、「台灣古董雜貨珍藏圖鑑」から「花王洗髮乳」、「王子麵」、「婦人良藥中將湯」、「花王石鹼」、「仁丹銀粒小粒」、「森永」、「公用電話」等の図を選んで、撮影機材で撮影し、図案をプリントして鉄板に貼り、店内に掛けたが、事後に当該書籍の共同著者の一人である胡○○に告訴されたという。
裁判官は審理した結果、胡○○の著作物である「台灣古董雜貨珍藏圖鑑」の内容は、日本統治時代及び戦後の農業時代の広告看板を蒐集し、写真撮影した後に説明文を付し、編集して出版したもので、その撮影内容は商標権を有する他人の商標、商品、広告看板等であり、古い時代のオリジナルの実際の色彩や形状を表示したもので、検察が起訴した11件の看板について、胡○○は単に写真を撮影しただけであり、改作された「二次的著作物」ではなく、またカメラマンの思想又は感情を表現するに十分な芸術上の賦形も行われておらず、独創性が欠如しており、著作権法で保護すべき写真の著作物に該当するとは認め難く、検察側も被告人が著作権法に違反したことを立証できないため、無罪判決を下した。(2022年7月)