桂田璽悅公司による君品酒店の客室デザイン模倣事件、雲朗観光公司が差し戻し控訴審で勝訴

J221206Y3・J221206Y4 2023年1月号(J281)
 雲朗観光股份有限公司(以下「雲朗観光公司」)は、桂田璽悅酒店股份有限公司(以下「桂田璽悅公司」)が(雲朗観光公司の経営する)君品酒店(Palais de Chine Hotel、以下「君品酒店」)の客室デザインを模倣したとして訴訟を提起し、一審と二審で勝訴して500万新台湾ドルの損害賠償請求が認められたが、桂田璽悅公司が上告して、その後、最高裁判所は雲朗観光公司に有利な原判決を破棄し、本件を知的財産及び商事裁判所に差し戻した。差し戻し控訴審では先日、著作権侵害を構成しないものの、桂田璽悅公司による公平交易法(訳注:日本の独占禁止法、不正競争防止法に相当)違反が認められ、なお雲朗観光公司に有利な判決が下された。
 知的財産及び商事裁判所における差し戻し控訴審判決では、次のように認められた。室内空間全体のデザインからみて、君品酒店の客室における家具のデザイン及び選定には、デザイナーの室内の芸術性と美感に対する個性と独自性が十分に見られており、消費者にデザイナーが伝えようとするアール・ヌーヴォーのスタイルと雰囲気を味合わせることができ、独創性を有する。しかしながら、家具や装飾及び配置は自由に移動させたり、部屋の構造と分離させたりすることができ、かつ家具や装飾及び配置が形成する芸術性と美感は建築の著作物の本質とは無関係であり、建築物内部構造又は使用上区分できない部分には該当せず、建築の著作物に対する保護を受けることができるとは認めがたい。よって本件は著作権侵害を構成しない。
 また、観光旅館業の特性と消費者の取引習慣において、どのホテルでも客室のタイプにより家具の配置や快適さが異なり、さらにはデザインスタイルの特色も異なっており、これはホテルの等級を評価する上での重要な基準の一つであり、消費者が部屋を選ぶ際の重要な参考要因の一つでもある。このため旅館ホテルの経営者らは客室タイプ別の客室デザインに知恵を絞り経費を投じて、快適で異なる特色を有する客室タイプ別の客室デザインスタイルを創り上げ、消費者を惹きつけようとしている。もし全く同一の、又は高度に類似の客室デザインを以って同じ室内デザインスタイルを呈したならば、両ホテルは関連企業である、又は双方に加盟関係若しくは使用許諾関係が存在すると連想させて誤認させるに十分である。よって、桂田璽悅公司は公平交易法に違反しており、その上訴を棄却する。本案はさらに上告できる。(2022年12月)
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