「AROO」は「iROO」商標と類似、裁判所は250万新台湾ドルの賠償金支払いを命じる判決

J230314Y2 2023年4月号(J284)

 「iROO」の商標権者である依洛国際開発股份有限公司(IROO INTERNATIONAL CO., LTD.、以下「依洛公司」)は偉溢国際開發有限公司(WEI I INTERNATIONAL DEVELOPMENT CO., LTD.、以下「偉溢公司」)に商標権を侵害されたとして提訴した。依洛公司は、偉溢公司が「AROO」を商標として使用しており、その経営する品目もトレーニングウェア等であり、「AROO」と「iROO」商標の類似度は高く、消費者に誤認を生じさせるため、訴訟を提起して、偉溢公司に「AROO」という文字の使用を停止するとともに、ドメイン名の廃止を行い、かつ250万新台湾ドルの賠償金を支払うよう請求した。
 知的財産及び商事裁判所は本件に誤認混同のおそれがあるかについて、次のように斟酌した。
 偉溢公司が使用する「AROO」と商標「iROO」の文字を対比すると、その中の「ROO」部分のアルファベットが完全に一致しており、頭文字の「A」、「i」についてのみ異なっている。「iROO」の「i」は斜体で表示されているため、「A」に近い視覚的効果を有しており、全体をみると、その違いはわずかである。また「AROO」と「iROO」はいずれも既存の単語ではなく、それ自体には特別な意味がなく、識別性を有する。依洛公司は、「iROO」商標の称呼が「伊路」(音訳)又は「埃路」(音訳)等であり、両者の全体の外観、称呼はいずれも前述の通り同じ箇所があり、類似度が高い商標を構成していると主張している。
 偉溢公司は「AROO」をドメイン名、サイト、蝦皮賣場(Shopee)、FB、Instagram、Youtube及び商品等に使用しており、「iROO」商標が使用を指定している「スポーツウェア」、「服飾品小売」、「小売を目的とした通信媒体における商品の展示、ネットショッピング、消費者への商品情報及び買い物アドバイスを提供するサービス」と、性質、機能、用途、材料、生産者、販路又は販売場所、消費者群等の因子において共通する又は関連する箇所があり、もし同一の又は類似の商標を表示したならば、一般商品の消費者にそれが同一の出所、又は同一ではないが関連の出所(からの商品・役務)であると誤認させるため、それが使用を指定する商品又は役務では高度な類似の関係が存在する。
 さらに依洛公司から提出された関連の消費者に誤認混同が実際にあったという事実証拠によると、確かに消費者が依洛公司のFBファンページにおいて「AROO割引コードをこのサイトでも使用できるか?」「AROOでは、写真のようなインナーとして着られる女性用トレーニングウェアを売っているか?」というような問合せがあった。当裁判所は総合的に斟酌した結果、「AROO」と「iROO」商標の全体の外観、呼称にはわずかな違いしかなく、高度に類似する商標であり、両者の使用する商品又は役務が同一又は高度に類似しており、関連の消費者に実際に誤認混同がみられた状況から、偉溢公司が「AROO」という文字をスポーツウェアという商品やそれを販売するサービスに使用すると、「iROO」商標と「AROO」は同じ出所からのものである、又は使用者の間に関連企業、使用許諾関係、加盟関係又はその他これらに類する関係が存在すると、関連の消費者に誤認させるおそれがあると認める。
 知的財産及び商事裁判所は、以下のような判決を下した。偉溢公司は「AROO」を衣料品、服飾品の小売又はその他の類似する商品又は役務に使用してはならず、並びに上記商品又は役務と関連するビジネス文書又は広告に用いたり、デジタル動画、電子媒体、インターネット又はその他の媒体等の形式でこれを行ったりしてはならない。すでに使用している場合は除去しなければならない。ドメイン名「aroo.com.tw」の廃止手続を行わなければならない。偉溢公司は「iROO」と同一の又は類似の文字をそのサイト名、ドメイン名、電子商取引サイトのアカウント名の主要部分としてはならない。偉溢公司等は依洛公司に250万新台湾ドルを連帯で支払わなければならない。本件は上訴できる。(2023年3月)

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