陽明交大チームが新電解液を開発 耐高熱リチウム電池の安全を向上
J230301Y5 2023年4月号(J284)
リチウム電池は現在もっとも重要な電力貯蔵技術であり、国家科学及び技術委員会は陽明交通大学材料科学および工程学系教授張仍奎のチームをサポートし、一連のリチウム電池用イオン液体(ionic liquid)電解液を開発した。これは従来の材料よりも熱安定性が高く、発揮性が低く、不燃性で、安全性が大幅に改善されている。
国科会によると、さまざまな種類のエネルギー貯蔵電池の中で、リチウム電池は高エネルギー密度、高出力密度、低自己放電率という長所を持っているが、「熱暴走」(thermal runaway)による安全性の問題も抱えているとのことである。
上記の問題を解決するために、国科会は張仍奎のチームが一連のイオン液体電解液を開発したと発表した。イオン液体電解液は、リチウム電池の正負電極間でリチウムイオンを移動させ、充放電反応をさせる役割を果たすもので、電池の主要材料である。張仍奎のチームは、イオン液体のマイナスイオンおよびプラスイオン構造の設計、リチウム塩の配合、共溶剤と添加剤の選択において成果を上げ、リチウム電池の安全性を大幅に改善した。
国科会によると、張仍奎のチームによって開発されたイオン液体電解液技術は、電池の安全性とサイクル充放電寿命を改善するだけでなく、その優れた熱分解温度 (摂氏 400 度を超える) もあり、電池の熱安定性を向上させることができ、電極材料と電極基板の腐食溶解性も低く、電池の耐久性と信頼性を向上させることができるという。
国家科学委員会によると、張仍奎のチームは長年にわたりエネルギー貯蔵材料と技術の研究開発に取り組んでおり、エネルギートピックに関する国際ジャーナル論文を合計 269件発表し、国内外特許を18件、技術移転許諾を10件取得しているが、今後も産業への応用にも力を入れ、多くの企業や研究開発機関と産学連携するとのことである。(2023年3月)