「WIPI 2023」と「2018~2022年産業別商標登録出願の動向分析」
J240125Y2 2024年2月号(J294)
世界知的所有権機関(WIPO)は2023年11月6日に「2023年世界知的財産権指標(WIPI 2023)レポート)」を発表し、2022年に行われた商標の出願総数、登録総数、FA期間(一次審査通知までの平均期間)及びFT期間(最終処分までの平均期間)、査定結果の統計、各国のGDP1000億米ドル当たり出願区分数及び人口100万人当たり出願区分数等のデータを公開しており、(知的財産局は)台湾の2022年統計データとWIPI 2023とを対比して、分析と比較をまとめ、「2018~2022年産業別商標登録出願の動向分析(原文名:2018-2022年産業申請商標案件趨勢分析)」レポートを作成した。その要点は以下の通り。
一、2022年世界における商標出願の件数及び区分数はそれぞれ15.7%、14.5%と大幅に減少したが、件数はすでに2008年の3.5倍に増えている。(国・地域知財庁別にみると、)中国大陸の出願区分数は751.3万区分余りに達して首位を占め、2位の米国の76.7万区分の10倍近くとなっている。台湾は12.2万区分余りを出願し、世界での順位は前年より1ランクダウンの18位となった。また台湾の登録区分数は10.2万区分余りに上り、同様に世界18位となっている。
二、2022年台湾の商標出願に係る件数と区分数はそれぞれ前年比で1.17%減、0.68%減となり、わずかに減少しているが、2018年比では件数が11.7%増、区分数が11.2%増となっている。
三、台湾おける外国人による商標出願とWIPOの非居住者(Non-resident)による商標出願について上位4産業部門(Industry Sector)をみると、いずれも「研究・技術/Research and technology」、「保健/Health」、「衣類・アクセサリー/Clothing and accessories」、「レジャー・教育/Leisure and education」の順となっており、出願全体において大きな割合を占めている。世界の平均水準と比較すると、台湾において外国出願人が「保健」分野で出願した割合はWIPOでの水準を上回っており、外国出願人が台湾において保健分野のブランド潜在的成長力を重視していることがわかる。
世界では2019~2021年にコロナ(COVID-19)感染拡大により、短期的には産業に対する打撃と経済の後退をもたらしたが、企業がビジネスチャンスを模索し続け、旺盛な起業精神でコロナ感染において必要な商品とサービスの市場を開拓したため、世界の商標出願は急増してピークに達した。2022年に感染拡大が緩和し、企業は高いインフレ率、生活費の高騰等の経済危機や地域政治の不安定な状況に直面し、世界経済は完全に回復していないものの、世界ではなお1180万件近くの商標出願が行われ、区分ベースでは1550万区分を上回っている。それに対して台湾では経済が受けた影響は軽微であり、経済活動も徐々に正常化しつつあり、2022年の商標出願は9.5万件に達し、区分ベースで12万区分を上回り、世界で18位にランキングされた。また外国出願人の出願区分数が全体に占める割合はやや下がり29%となった。(2024年1月)