TSMC北米技術シンポジウム AIイノベーションと最先端のテクノロジーを発表
J240424Y5 2024年5月号(J297)
半導体専業ファウンドリのトップ、企業台湾積体電路製造股份有限公司(Taiwan Semiconductor Manufacturing Company Limited、略称TSMC)が米国時間2024年04月24日に2024年北米技術シンポジウムを開催した。シンポジウムでは最新の半導体プロセス、先進パッケージング、3D IC技術を発表し、これら先進的半導体技術は次世代AIイノベーションを推し進めるものである。
シンポジウムでTSMCは初めてTSMC A16技術を発表した。これは最先端ナノシートトランジスタとスーパーパワーレール(裏面電源供給)アーキテクチャ(backside power rail)を融合させたソリューションで、2026年量産開始の予定であり、これらによりロジック密度と性能が向上する。また、新たな実装システム(TSMC-SoW)技術は,ハイパースケーラ・データセンター向けの革新的な性能をウェーハレベルで実現し、将来的なAIへのニーズを満たすものである。
技術シンポジウムで公開された新技術にはTSMC A16、ナノシートトランジスタに向けたNanoFlex、N4C技術、CoWoS、システム統合チップ、TSMC-SoW、シリコンフォトニクス統合、車載用先進的パッケージング等がある。
それらの内、TSMC A16技術については、業界をリードするN3E技術が量産に入るのにともない、N2技術も2025年下半期に量産に入る見通しとなっている。TSMCの展開技術のロードマップ上にある新技術A16は、TSMCのSuper Power Rail構造とナノシートトランジスタを融合させたものであり、2026年から量産される。
TSMCによると、A16は高密度の電力供給ネットワークを備えているので、AIアクセラレータのような電力を大量に消費するチップにも適していて、これによりロジック密度と機能の向上が期待できるという。
また、2nmプロセス世代のN2Pプロセスと比較しても、A16は同じVDD(正の電源電圧)で8~10%速度が向上しており、同じ速度において15~20%の消費電力削減を実現できるので、データセンター製品では最大1.10倍のチップ密度向上が望める。
TSMC CEOの魏哲家氏は、TSMCは顧客のために最もパーフェクトな技術を提供、即ち全世界で最先端のシリコンウェーハから、最も汎用性の高い先進高度なパッケージングポートフォリオと3D ICのプラットフォーム、更にはデジタル世界と現実世界を繋ぐ特殊加工工程に至るまでを提供することで、顧客のAIビジョンを実現すると力強く語った。(2024年4月)