台南の有名レストラン「阿霞飯店」商標権侵害事件、二審で逆転

J240503Y2 2024年6月号(J298)

 台南の有名レストラン「阿霞飯店」の家族間で争われている商標権侵害事件について、知的財産及び商事裁判所は一審において呉健豪等が「阿霞」、「阿霞飯店」等の名称で宅配商品やオンラインショッピングの役務を販促・宣伝した行為に商標権侵害はないと判決していたが、二審では、呉健豪等に契約違反があったと認め、450万台湾ドルの損害賠償金を支払うよう命じるという逆転判決を下した。全件はさらに上訴できる。
 判決書によると、「阿霞飯店」は元来、創業者である呉錦霞とその五番目の弟である呉壽春(すなわち阿霞飯店のメインシェフであり、現在「阿霞飯店網路購物館」(訳注:創業者二人が開設したネットショップ)のメインシェフでもある)の共同経営であった。2009年4月に、呉錦霞と呉榮燦(次弟である呉炳雄の息子)、呉青蓉(呉壽春の娘)が協議して契約を結び、不動産売買の約定以外に、呉錦霞は「阿霞」、「阿霞飯店」の商標権を呉榮燦と呉青蓉に譲渡し、それぞれ所有又は共用し、且つ「実店舗の経営権」を呉榮燦に、「オンライン経営所有権」を呉青蓉にそれぞれ帰属させる約定を結んだ。その後、呉錦霞は2010年5月~7月に「阿霞」、「阿霞飯店」の商標を呉青蓉、呉健豪(呉榮燦の息子)等にそれぞれ譲渡している。
 2020年創業者の呉錦霞が死亡した後、呉青蓉は呉健豪等が約定に違反してネット販売に参入し、「阿霞」、「阿霞飯店」等の名称で宅配商品とオンラインショッピングの役務を販促・宣伝し、さらにはメディアの取材を受けたと主張し、双方は裁判所で争うこととなった。一審において、裁判官は呉健豪等に違約はないが、もう一つのブランド「錦霞樓」は消費者に混同させるおそれがあるとして、この部分の権利侵害に対して50万新台湾ドルの損害賠償金を支払うよう判決した。
 その後、双方はそれぞれ上訴し、二審では、呉健豪等に違約があると認められ、呉青蓉の同意を得ずに、自分自身の名義で又は他人と協力し、デジタルビデオ、電子媒体、ネットワーク又はその他類似のデジタル形式又はネットワークを用いたメディアを利用して、「阿霞」、「阿霞飯店」と同一又は類似する漢字・アルファベットの文字を広告宣伝、テレビショッピング、オンラインショッピング、通信販売、ネット小売りなどの役務に使用してはならず、また呉健豪らは連帯で450万新台湾ドルの損害賠償金を支払わなければならず、全件はさらに上訴できるとの判決が言い渡された。(2024年5月)

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