知的財産局が「半導体製造設備の廃水処理と再生技術に関する特許動向研究」を発表し、業界の「グリーンへの移行」推進に協力
J240925Y1 2024年10月号(J302)
ハイテク産業の用水に関する用水供給戦略と廃水処理技術が益々注目されており、経済部知的財産局は、国内半導体産業が水資源管理を着実に行うために廃水回収及び水資源再生に関する技術の開発に力を入れていることに鑑み、2024年9月25日に「半導体製造設備の廃水処理と再生技術に関する特許動向研究」プロジェクト報告書を発表した。同報告書では、半導体の廃水処理分野におけるキーテクノロジーと特許動向が検討され、業界がグリーンへの移行(Green Transition)、循環経済(Circular Economy)、ESGの発展、2050年ゼロエミッションを推進するために参考となる重要な根拠を提供している。
知的財産局によると、廃水回収及び水資源再生に関する技術を通じて、世界の半導体産業は水資源の持続可能な発展において大きく前進しているという。台湾は世界における半導体部品の主要生産国として、整備された産業チェーンと技術の基盤を有しており、関連の研究成果は米国、日本、欧州等の先進国に比べて遜色がない。台湾の学術研究機関(例えば、工業技術研究院)や半導体関連産業(例えば、台湾積体電路(TSMC)、兆聯実業(Mega Union)等)は積極的に廃水回収及び水資源再生に関する技術の研究を行っており、天然の水資源に対する依存を減らし、さらには経済的利益を創出し、循環経済の発展をより一層推進している。
報告書によると、世界において、ここ60年に半導体産業による「廃水回収及び水資源再生」技術に関する特許出願件数は急成長を遂げた後に安定成長するという傾向がみられており、それを萌芽期(1970~1997年)、成長期(1997~2011年)、減速・微減期(2012~2014年)、回復・再成長期(2015~2018年)、飽和・安定成長期(2019~2023年)の5段階に大きく分けることができるという。
産業についてみると、各国の産業形態はそれぞれ異なり、欧米、日本等の先進国には長い歴史を持つ大型電器、浄水設備又は関連材料のメーカーがあり、比較的早い時期(1970 年前後)から研究開発に取り組んでおり、学術・研究機関や小規模の企業は比較的少ない。世界の出願人トップ20をみると、日本国籍の出願人が60%を占め、いずれも有名なグローバル企業であり、その出願件数は今もなお目を引くものがある。中国はスタートが遅かった(1997年前後)ものの、国策としての奨励や補助により、小規模の企業又はスタートアップ企業が雨後の筍の如く大量に現れ、中国のこの分野における技術の特許出願件数は後発ながら他者を追い上げている。
わが国は半導体の製造大国として、整備された産業チェーンと優れた企業文化を有しており、また近年はESG、持続可能な発展、循環経済等のテーマが重視されており、国内の半導体大手はいずれも廃棄物の回収や再生又は再利用の実行やその技術の研究に尽力しており、廃水回収及び水資源再生に関する技術も当然ながらその重点項目の一つであるため、台湾の発展モデルは、半導体大手の主導で、国内の関連企業や学術・研究機関とそれらの技術を共同研究開発するというものであり、一定の成果をあげているということは、注目するに値する。
この報告書では最後に、半導体の廃水処理に係るキーテクノロジーについて分析して、以下のように述べている。該技術は通常単一の技術を使用するものではなく、技術の組合せを利用して、廃水処理及び水資源再生という成果を達成するものである。該技術は反応の形態により物理処理、化学処理、及び生物処理等に大きく分けられる。その中で物理処理又は化学処理の技術は比較的早くに発展し、投入する機関や特許出願件数は多く、技術の発展は成熟している。現在は、逆浸透法、精密ろ過/限外ろ過/ナノろ過法及び促進酸化法、凝集沈殿法、又はイオン交換法が主流の技術となっている。生物処理については、主に微生物の特性を利用して廃水中の汚染物質を無害な物質に分解するというもので、大規模かつ低コストで廃水を処理できるという特性があり、極めて高い経済価値を有するため、世界の関連大手企業にとって研究開発の重点項目の一つであり、活性汚泥法又は膜分離活性汚泥法(メンブレンバイオリアクター)が主流となっている。処理システムの「制御、管制又は検知」の構築については、将来人工知能(AI)技術とその応用が成熟してから、その重要性がさらに増し、特許出願件数の増加が予測され、今後の発展は注目するに値する。
国際市場における半導体製品の需要は拡大し続けており、企業は持続可能な発展を実現するのと同時に、グリーン技術の革新を通じて競争力を強化して、2050年ネットゼロ移行を実現していかなければならない。(2024年9月)