知的財産局、専利法の一部改正法律案を公告
J240911Y1 2024年10月号(J302)
専利法は1944年5月29日制定公布、1949年1月1日の施行以来、15回にわたる改正を経ており、直近の改正は2022年5月4日公布、2022年7月1日施行である。
新興デジタル産業が急速に発展し、デジタル技術を用いた画像デザインが多様化するのに伴い、国際的な意匠保護の動向も踏まえ、またわが国の産業界の実務的なニーズを考慮して、この度、産業が必要とする意匠制度を改正する。また、わが国の歴年の司法実務の見解を参酌して、真の専利を受ける権利を有する者(真の権利者)が権利を取り戻すための救済ルートを民事ルートに改正するとともに、関連措置も整える。「専利法」の一部条文改正案は計20条(新設2条、改正17条、削除1条)であり、その改正の主な内容は以下の通りである。
一、デジタル技術を用いた画像デザインを意匠保護の対象に
画像デザインは「物品」に応用しなければならないという限制を緩和し、その実施行為を明確化するとともに、それに合わせて出願及びその権利の範囲も改正する(改正条文第121条、第124条、第136条)
二、「複数意匠一括出願」制度の導入
ハーグ協定、欧州連盟(EU)、米国等の海外の動向を参考として、「複数意匠一括出願」制度を導入し、その訂正、無効審判請求等の関連規定を合わせて改正する。(改正条文第127条、第129条、第139条、第140条、第141条の1)
三、意匠のグレースピリオドを12ヵ月に延長
意匠のグレースピリオド(新規性喪失の例外期間)を現行の6ヵ月から12ヵ月に延長する。(改正条文第122条、第142条)
四、出願の分割できる時期を意匠登録査定後も可に
意匠登録出願を分割できる時期を、現行の「原出願の再審査査定前」以外に、「原出願の初審査登録査定書又は再審査登録査定書の送達後3ヵ月以内」も分割できるように緩和し、それに合わせて登録できない事由と無効審判請求事由も調整する。(改正条文第130条、第134条、第141条)
五、真の権利者がその専利を受ける権利又は専利権を取り戻す救済ルート
専利を受ける権利(専利出願権)又は専利権の帰属に係る争議において、実質上、専利所管機関が裁判所のようにその事実証拠を調査することは困難であり、その争議を効果的に解決することが難しいため、それを無効審判請求事由から削除し、民事ルートで争議を解決しなければならないことを定め、関連規定を新設する。(改正条文第10条、第35条、第59条、第69条、第71条、第119条、第140条及び第141条)
六、経過規定を新設
新旧の法律の移行のための経過規定を定める。同規定には、改正前に未審決の無効審判請求は新法施行後に取下げと見なすこと、意匠のグレースピリオドの延長(12ヵ月)、「複数意匠一括出願」制度の導入、及び分割できる時期の緩和(登録査定書送達後3ヵ月以内であれば分割可)の規定について、それらの出願の処理原則等を盛り込む。(改正条文第157条の5)
(2024年9月)