商標SOMFYとsimFYは容易に混同?仏企業が知財局を提訴
J210721Y2 | 2021年8月号(J264) 前のぺージに戻る    
    フランスのソムフィ社(SOMFY ACTIVITES SA)は2016年に「SOMFY」、「sOmfy」等の商標を登録し、電動化製品(訳注:シャッターや窓まわりを電動化するためのモータ、リモコン、スイッチ、センサ、インターフェース、制御盤等)を販売している。同社は翌年、他の電化製品業者が「simFY」商標を登録したのを発見し、混同を生じさせるおそれがあるとして異議を申し立てた。知的財産局は2019年1月に登録維持を決定したため、ソムフィ社はこれを不服として、行政訴訟を提起し、知的財産局に「simFY」の登録を取り消すよう請求した。一審の知的財産裁判所は、両者の商標が主に使用される役務が異なるため、混同は生じないと判断したが、最高行政裁判所は一審の判断が「推論」にすぎず、判決理由の不備があると認めて、本件を(知的財産裁判所に)差し戻した。
    一審の知的財産裁判所は登録公告に基づいて、両商標の指定商品には電化製品が含まれるものの、「simFY」は主にネット販売、電化製品の小売卸売等の役務を提供しており、購入者の多くは一般消費者であるのに対して、「SOMFY」、「sOmfy」は電化製品における「スマート制御機能」設備に重点を置いており、電化製品そのものではなく、購入者の多くは専門業者や企業であることから、混同は生じないとして、ソムフィ社敗訴の判決を下した。
    二審の最高行政裁判所は、商標に混同のおそれがあるかの判断には、「商標識別力の強弱」、「商標の類似の程度」、「商品又は役務の類似の程度」、「先権利者の多角化経営の状況」、「実際の混同の状況」、「消費者の各商標に対する熟知度」、「商標登録の出願人が善意であるか否か」、「その他混同の要因」等を斟酌すべきであると認めた。さらに一審では電化製品のネット販売及び小売卸売は、電化製品のスマート制御とは関連がなく、しかも消費層も異なると推論しているが、関連の事項又は実際の状況に基づいて審理されておらず、判決理由の不備という違法があるため、上訴には理由があると認め、原判決を破棄して、(知的財産裁判所に)差し戻した。(2021年7月)